いつも、貴方の側に…
□1章
1ページ/4ページ
「ねぇ、どうして…」
静かに吹く風が、私の髪をゆらす。
彼の目にはうっすらと涙が浮かんでいた。
「何回も言ってるだろ。俺は…俺は、もうこの世に必要のない人間になってしまったんだ。こんな命、もう要らないんだ…」
屋上の柵へと足をかける。
私はとっさに彼に飛び付いた。
「何言ってるの?貴方の魔術はまだ使える!貴方がいれば、救える命だってあるよ!!」
そんな私の腕を豪快に振り払う。
「回復魔術の使い手が、ろくに回復できなくなったんだ。
お前みたいに万能な能力の持ち主には分からないだろうな!!」
あっ…!
彼の腕に押された私の体は、何の抵抗もなく宙に浮いた…