いつも、貴方の側に…
□3章
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部屋に着いた私たちは、三成様に私の着物を手渡され、そのまま大人しくしていろと指示を受けた。
十次郎には外で待っていてもらい、おそらく初めてであろう着付けを行う。
……着付けってか、どれから着ればいいのかな??
何となくで着付けを済ませ、十次郎を呼ぶ。
なぜか十次郎の顔が真っ赤になっていた。
「どうしたの?十次郎」
私が聞くと、目をそらしつつ私に近づく。
「……一人で着付けが出来ないなら、素直に俺を呼べ」
小さい声でそう言いながら、帯を緩め、はだけないよう注意しながら着付けしなおしてくれた。
「しばらくは俺が着付けてやる。
肌着まで着終わったら俺を呼べ。」
そう言うと、すっとその場に座り、私を手招きする。
私は慣れない着物に苦戦しながら十次郎の前に座った。
「俺の知る範囲だけになるが、今の国がどうなっているのか教えてやる。」
そっと白紙とペンを取りだし、信長様、三成様、そして私の知らない名前をすらすらと書いていく。
「まず西軍から。
西軍はここ、つまり、信長さんが納める国の西側をいう。
そして東半分の東軍。
こっちは明智光秀、こっちでいう信長さんと同じ立場の将軍。
そして伊達政宗。……ちょっと違うが、こっちでいう三成さんと同じような立場だと思っていい。
そしてもう一人、東軍には服部半蔵という忍がいる。」
私は紙に書かれた名前を目で追う。
「それで、今の状況だが……一言で言うと、最悪だ。」
「最悪……」
私は頭の中でその二文字を繰り返した。
「何故かは分からないが、両国で何らかの事件が起きたらしい。それで、東軍の方から戦を持ち出す話が上がっているとのことだ。
この国もいつ戦に出ることになるか、もう時間の問題って感じになっている。」
返す言葉に詰まる。
戦なんて、歴史の中だけのものだと思っていたのに、こんなに身近に来るなんて思っても見なかった。
……ん?歴史?
何か私の中で引っかかるものがあったが、特に気に止めなかった。
「まあ、そんなにすぐ何かが起こることもないだろう。
一応、頭の隅においといてくれ。」
そう言うと、十次郎はばたんと後ろに寝転び、そのまま眠ってしまった。
さっきの話が頭の中でぐるぐるまわり、私は落ち着かず、じっと空を見つめていた。