いつも、貴方の側に…

□4章
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夜。


十次郎の横で眠っていた私の肩に何かが触れる感触を感じ、目を覚ます。


目の前には、何故か信長様の姿が……


「えっ、のぶなっ……」

突然口を塞がれる。


「黙れ、十次郎が起きるだろう。

……行くぞ」



私はなされるがまま、部屋を出た。







着いたのは信長様の部屋。


私が暗闇のなか部屋の様子をうかがっていると……



ドンッ


「きゃぁっ!!」


床に押し倒されてしまった。

手足はしっかりと信長様の体で固定され、全く身動きが取れない。



「信長様っ……なにをっ!」


「悪いようにはしない。
お前が記憶がないのか確かめたかっただけだ」



そう言うと、私の目をじっと見つめてきた。



「……はじめから思っていたが、お前、キレイな目をしているな」



小さな声で言われた言葉に、今までのようなトゲは感じなかった。



「……やはり、お前の言っていたことは本当なのだな。

このような素敵な姫が、そんなことするわけ……っ!」



信長様の腕の力が抜ける感覚を感じる。

表情こそ読み取れないものの、なんだか聞いていて恥ずかしくなってきた



「あ、あの……信長様」



「……っ、どうした?

もしかして、嫌だったか?」



信長様の言葉に、何故か首を横に振っている自分がいた。



「……そうか。

悪いな。本当は、お前にこんなこと、したくないのだが、確実に敵ではないと確認できるまで、こちらとしても野放しにはできないのだ。

……許してくれなどとは言わん。わかってくれ。」



今までの信長様では想像もつかないほどの優しさに、どう返事を返せばいいのかわからなくなる。




そのとき








カツ カツ カツ……





誰かの足音が近づいてきた。



「すまん!」



信長様は一言詫びて、私を壁に向かって突き飛ばした。



「いっ……」



腰を打ち、鈍い痛みを感じつつ、私はそれに耐えた。





ガラッと開いた扉の向こうには三成様が立っていた。



「信長様!
なにをされていたのですか!」




怒りの表情を見せる三成様に、信長様は今までのような含みのある笑顔を浮かべる。


「そう怒るな、三成。

こいつがこっそりと部屋を抜け出す所を目撃したので、ここで説教していただけだ」




……私が悪者にされたことには若干気に障ったが、まあ気に止めないことにする。




「……そうですか。

…華といい十次郎といい、全く少しはこちらの考えにも耳を傾けていただきたいものです。

では、失礼します。」



三成様は静かに去っていく。



「……すまぬな。とっさとはいえ、お前を悪者扱いしてしまった。

さあ、立て。部屋まで送る。

呼び出して悪かったな。」




私は特にこれという返事を返すことなく、信長様に着いていった。
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