俺プリシリーズ 短編集

□俺の本音
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俺は今、染谷先輩と旅行に来ている。


というのも、遡ること1週間前……












「染谷先輩!来週予定空いてますかぁー?」




先輩の部屋のドアを思いっきり開けて叫ぶ。


ドタバタと急いで染谷先輩が出てきてくれた。




「お前うるせぇよ!少しは静かに入ってこい!」




口は悪いものの、怒りの表情は見られない。




「だって、早く染谷先輩に会いたかったから」




笑顔で言い返し、先輩の返事を待つことなく部屋に上がる。



呆れたような顔をしつつも追い出そうとしない先輩に、俺はぐっと顔を近づける。



「な……なんだよ」




「来週の週末、一緒に旅行に行きませんか?
まあ、1〜2泊くらいになると思いますけど」



断られる。


そんな気がしたが、奥の手を持っている俺に迷いはない。




「はあ?突然旅行って……無理に決まってるだろ」




やっぱり。







ここで登場!染谷先輩専用の奥の手。






「でも先輩、そこに老舗のお菓子屋さんがあって、すっごく美味しいプリンがあるらしいですよ。

しかも、今月限定らしいですよ
……それでも、無理ですか?」





自信満々の俺の顔を驚いた顔で見つめる染谷先輩。


とたん、ふっと顔を赤らめる。






「そ、それお前と2人きりか?」









「それはもちろんです。
久しぶりに、先輩と2人っきりになれるチャンスですよ」





あえてしばらく先輩におあずけをさせていたせいもあり、先輩の意思はすぐに揺らぐ。






「……わかった」






何を考えているのか、顔も耳も赤くなっていて、視線をそらしている。





「そう言ってくれるって信じてましたよ」







俺は先輩の耳元で囁く。


もはや先輩の身体は固まっていて動かない。




(ホントに先輩、俺には弱いんだな)



俺は先輩の手を軽く握る。



「じゃあ1週間後、楽しみにしてますね」






焦らすだけ焦らして俺は部屋を出た



















……ということだ。


で、俺たちは例のお菓子屋でプリンを2個買い、旅館の部屋でそれを食べている。




染谷先輩の顔はまるで無邪気に笑う子どものような顔をしていた。
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