いつも、貴方の側に…

□3章
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夕方。

私たちは三成様に呼び出され、信長様の部屋へ向かった。


「……全員そろったな」


信長様は下を向いたまま腕組みをしている。


「しばらくの間、お前ら二人にはあの部屋で過ごしてもらう。

十次郎もだが、あの部屋から外へ出ることを禁止する」


ピクッと十次郎の表情が強ばる。


「もしどうしても部屋を出る用があるなら、俺か三成を呼べ。

俺らの監視から逃れようとする動きが少しでも見られれば……

わかっているよな?」



私たちは信長様の威圧的な言葉に「……はい」としか答えられなかった。



「三成。奴らを部屋に戻せ。

後のことは伝えた通りにしておけ。」



三成様はすっと立ち上がり、私たちを連れて部屋を出ていった。


すたすたと歩いていく三成様の後ろをついていた十次郎が口を開く。


「なあ、三成さん。何故俺まで監視の対象になっているんだ?」


「当たり前だ。

お前が意図的に敵を送り込む手配をしてあるかもわからない。

そのあたりがはっきりとわかるまではお前も監禁対象にさせてもらう。」



話をしているうちに部屋にたどり着く。


十次郎に指示され、私は先に部屋に上がる。


十次郎は外で三成様と話をしていた。









しばらくして帰って来た十次郎の表情は曇っていた。


「どうしたの?」



「信長さんの言葉は絶対。
拒否権はない、だとさ。

俺らがどんなにあがいても、この仕打ちからは逃れられなさそうだ」


がっくりと落ち込む十次郎の背中をそっと撫でる。


「私のためにそこまで考えてくれてありがとう

でもね、大丈夫。
私はここで、新たな自分の居場所を見つけるから。

前の私がどんな暮らしをしていたかは覚えてないけど、きっと、ここでも上手くやっていける気がする。」



私の言葉が効いたのか、十次郎の表情が和らいだ。


「……そうだな。
なら俺は、その手助けができるように努力する。」



完全に追いやられた状態で、私たちの中に希望の光が射し込んだ。
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