浅い眠り

□帰らぬ君へ
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『私、春樹が好きよ』


柔らかく微笑むその笑顔と温もりは、もう無い


優しく囁くその声も



どんなに願い、恋求めても


するりと、すり抜けて行った


桜の花が散って葉桜になる頃



君は帰らぬ人になった


だから俺は、君を奪ったこの季節が嫌いだ


あの声も、微笑みも温もり全て奪った


彼女が


桜弥が俺にくれた沢山の時は、色褪せることなく焼き付いている


『四宮...』


ピトッと頬に触れる冷たいものと、ライバルである鴻鳥サクラ


『彼女...桜弥さんの事、思い出してた?』

冷たいものの正体である牛乳とジャムパンを差し出すとサクラも隣に腰を下ろす


彼女と俺の事を知る数少ない人物でもある


サクラの問い掛けには答えず空を仰ぐ


『人間はね、死んだら神様の元に帰るの...だから、泣かないで...笑って?』


そう言って、彼女は笑ったんだ



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