浅い眠り

□君の温もり
1ページ/2ページ

指先に感じる温もりをずっと感じていたいと願う


『ねぇ...春樹、起きて?』

『桜弥』

心地よく響くその声をもっと近くで聞きたくて、ベットへと引きずり込む


手を伝って伝わってくるその温もりも心地いい


『春樹っ!もう、起きないの?』

『折角の休みなんだ...たまにはこうしたって良いだろ』


まだ少し掠れた声に桜弥は弱いと知っている

だから、わざとそうする


『もう...じゃぁ、後少しだけだからね?』

『あぁ...』


ほら...桜弥は俺に甘い
まぁ、俺も桜弥には甘いんだけどな

『春樹にこうして抱き締められるの好き...』

『あぁ...知ってる』

『春樹の声も、手も、温もりも全部』

『そるも知ってる』

俺もそうなんだ
桜弥の声も、手も、温もりも全部が好きなんだ

『春樹は?』

『俺は好きじゃない』

その言葉に抱き締めていた桜弥の身体が強張る

俺は、君の全てを
そう...全てを


『愛してる』

そう言って抱き締めると、桜弥の小さい手が背中に回る

ただそれだけで、身体中が熱くなる

けれど、それさえ心地よく
一種の安定剤なのかもしれない


そのまま二人で、また眠りに落ちていく



.
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ