浅い眠り

□アネモネ
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久し振りの休日
院内や、部屋に籠ってばかりも勿体ないと思い外に出た


食材が何もないのもあったが、晴天で散歩日よりなのもあった


ふと目に止まったら花屋に、彼女を見つけた
目敏いと思った
好きな人は直ぐに目に入る


『四宮先生!こんにちは!』

笑顔で手を振る彼女を見ると、店を閉める準備をしていた


『こんにちは。今日はもう店じまいですか?』


『定休日だったんですが、水をあげに』


微笑む彼女の手に一つの一輪の花
花の名前の札には『アネモネ』と書かれていた

その花と彼女が重なった


『桜弥さん、これ頂けますか?』

一瞬キョトンとしたが満面の笑みで頷いた
店内に入った彼女を確認して、『アネモネ』を調べて赤面する


君を愛す...


自分の彼女の伝えられない思いだった


『お待たせしました!プレゼントですか?』


その声に顔を上げ、『ええ...まぁ...』と答えると、彼女は一瞬だけ表情を浮かべた
その表情は、四宮の心に微かな期待を抱かせた


『喜んで頂けると良いですね』

『貴女は喜んでくれますか?』

『そうですね!私だったら凄く嬉しいです』


その笑顔を見ると、やはり自分の物にしたい
サクラや、小松にも散々『早くしないと、他の男に取られちゃう』と言われ続けた


『なら、これを貴女に...俺の気持ちと一緒に』


差し出された桜弥の手を包み、花をそっと彼女に押し返す

彼女は、理解するのに時間がかかったが、真っ赤な顔で見つめてくる

『...えっ...あの...っ...よろしくお願いします!』


真っ赤な顔のまま、微笑み花を大事そうに持つ
自身も顔が紅いのが分かる


『桜弥さん、店閉めたら一緒に食事に行きませんか?』


『はい!』


微笑み、彼女が店を閉めるのを待ちそれから、手を繋いで街の中に行った


アネモネ
君を愛す...これからもずっと




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