浅い眠り
□対称的な二人
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『桜弥急がないと、遅れるよ!また走って病院に行くの!』
『走るとか無理...』
『無理なら早く支度して!』
バタバタと急かす鴻鳥と、やる気の無さそうな桜弥、対称的である
こう見えて、同棲しているカップルである
ハァ...と溜め息を吐き新聞を畳み身支度を始める
『桜弥、行動がおじさんだよ?』
『すみませんねぇ...って、サクラは母親みたい』
『だって、桜弥がマイペース過ぎなんだよ?』
『あぁ...それは認める...あ、サクラ、時間ヤバそう』
バッ!と時計を見た鴻鳥は、急ぐ事を諦め渋々タクシーを呼んで二人でペルソナに出勤する事になった
まだ仕事も始まっていないのにゲンナリしている鴻鳥と、自分のデスクでコーヒーを飲みながらまた新聞を読み始める桜弥
『サクラ...お前も変なヤツ好きになったな』
『四宮くん...成り立っているんだから良いんじゃないのかい?』
『ハハハ...』
そんなやり取りに乾いた笑いが溢れる
確かに変わり者だか、昔から人の信頼は厚い
時々見せる女性らしい表情がとても可愛くて、何処か抜けてる彼女
手を焼きたくなる
それに、四宮さえ知らない自分しか知らない彼女もいる
絶対教えないけどね...
『さて、そろそろ行きますか!』
診療時間が近づき、医者の表情になる
仕事の時の顔も僕は好きだ
裏表の無い、マイペースだけど強い信念を持つ君がとても好き
『あ...白衣忘れた...』
『だから、前の日から準備しな!って言ったでしょ?』
『...どうしようもないやつ...』
この何とも言えない関係はきっと果てしなく続くのかもしれない
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