浅い眠り
□愛した人
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愛した人は、ただ君一人
けれど、君は既に愛しい人の隣で穏やかに微笑んでいた
『まさか、四宮先生と桜弥先生が結婚するなんてねぇ!』
『しかも、できちゃった婚!』
わぁわぁと騒ぐ女性陣の中心に居たのは、同期の四宮と如月 桜弥
順番逆だけど、おめでとう!と祝福モードだった
桜弥は、僕の想い人だった
いつだったか、彼女に四宮が好きだと相談されたことがあった
少なからず、四宮も彼女の事を気にかけていたのを知っていた
二人の関係を繋げたのは僕自身
『きっと、二人なら上手く行くと僕は思う...四宮も、桜弥も僕にとって大切な人だから、二人が幸せになってほしい』
そう言うと、桜弥は『ありがとう!自分の想い、伝えるよ!』と彼女綺麗に微笑んだ
四宮の事を想って...
それから、暫くして付き合う事になったと、四宮から知らされた
『おめでとう』そう言って微笑んだが、これで自分の想いは、伝えられなくなった...
弱い時分が、この関係を壊したくなかったから
それから、数年...桜弥の妊娠がわかり今に至る
僕が担当医になった
『順調だよ!まだ小さいけど、桜弥のお腹にちゃんといるよ』
桜弥は、母親の顔で微笑んだ
『桜弥』
『なぁに?』
『幸せに、なって?』
それが、今の僕に言える精一杯の想い
想いを告げれなかった僕の心からの祝福
『サクラ...ありがとう!これからも、同期として、サクラの患者として、よろしくね』
そう言って、彼女は診察室を後にした
ドアが閉まったあと、涙が溢れた
きっと、これからも愛したのは君だけ
新しい恋が見つかるまで、君の事を思わせて?
四宮の隣で穏やかに微笑んでいる君は、僕の愛した人
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