浅い眠り
□桜の花が咲く頃に
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『病院の中庭の桜の花、綺麗に咲だしたね〜!』
『お花見とか、なかなか行けないから此所から見れるとちょっとうれしいです』
春は、やはりウキウキとした気分になるのだろう
忙しく過ぎていく日常の中の一つの楽しみになっている
『そう言えば、桜弥先生元気かな?』
小松のその言葉に、しんみりした空気が流れるなか、下屋だけがキョトンとする
『桜弥先生って誰ですか?』
『ん〜、桜弥先生はねぇ...』
『僕の大切な人だよ』
鴻鳥がそう答えると、彼女いたんですか?と下屋が驚く驚くのも無理はない...
四宮が人の事を放す訳もなく、小松も口には出さない
それに、鴻鳥もわざわざ話したりはしていなかったからだ
『その...桜弥先生は?』
聞きづらそうに、けれど、興味には勝てなかったのか下屋が聞いてくる
桜弥はペルソナで働いていたが、研修医時代は違う病院で働いていた
けれど、担当医がアメリカの病院に引き抜きをされ、それで桜弥はペルソナに来た
何年かして、その担当医だった先生から連絡が来たらしくこちらで学んで見ないか?と言われたらしい
当時付き合っていた鴻鳥は別れを告げられたが、別れたくない!と説得したが、条件が付けられた
3年...3年たった春に帰って来なかったら、別れようと
それ以上は、サクラを縛りたくないし、その優しさに甘えたく無いのと
『如月は、そういうヤツだよな』
『うん...』
恋人としても、同じ産科医としても早く桜弥に会いたい
抱き締めたいし、沢山学んで来たことを聞きたいんだ
桜弥、もうすぐ三度目の春が来るよ...
『桜弥先生...会ってみたいなぁ』
『下屋はまだまだ足元まで行けてないからな』
四宮の言葉に、凹む下屋に苦笑いをした
桜弥先生にだけは、ツンツンじゃないのよね〜!と笑う小松がいた
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