お昼寝〜鸛鳥中編〜

□音楽と君〜巡る〜
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それは本当に突然で

〜再会〜

『『音楽療法〜!』』


医局に元気な声が響く
その声の主は、小松と下屋だ

『あぁ...なんでも産後や、入院している子供の為に取り入れるそうだ』

『でも、楽しそうじゃない』

不機嫌そうな四宮と柔らかく微笑む鴻鳥、対極の表情だ

『えっ!じゃぁ、新しく専門の方が来るんですよね?』

『下屋先生、楽しそうね』

チョンチョンと小脇をつつく小松にたいし、下屋は女性だったらいいなぁ〜!とニコニコしている

四宮は、聞こえないよう鴻鳥に呟く

『サクラ...お前だってピアノ弾けるだろ?』

『けど、ここに居る時は僕は産科医だ...時間がある時だけってなると、居ないのと変わらないからね』

それもそうか...と四宮は未だに騒ぐ二人に目を向け、呆れた顔をする
普段と変わりなく過ごす医局の中に近づく足音と話し声

『ここが産科です』

聞きなれた穏やかな今橋の肥に振り替えると、少し後ろにはこがらな女性

『広いから迷いそうです』

今橋に案内されていたのだろう
確かに、この病院は広いから覚えるまでは不便だろう...そう思いながら顔を見る


そこで、僕は固まってしまう
そこに居たのは...養護施設で共に過ごした彼女だったから


『桜弥?』

『えっ...サクラ?』


『なになに?知り合い?』

『鴻鳥先生!こんな綺麗な方知り合い、いたんですか?』

『彼女、新しくはいった音楽療法の先生ですよ』

キャイキャイ騒ぐ二人に今橋は若干苦笑いを浮かべる

『如月 桜弥です。サクラ...じゃなくて鴻鳥先生とは同じ場所で育ちました』

同じ場所?とまたキョトンとする二人に次は鴻鳥が口を開く

『養護施設だよ』

鴻鳥の言葉に一瞬静まるも今橋が口を開く

『桜弥先生、昔の知り合いが居るのは良いことです。困った事が有れば鴻鳥先生に聞くと良いでしょう。』

彼だけでなく、此所にいる人は皆、親切ですから...と今橋の言葉に、はいと微笑み宜しくお願いしますと頭を下げた


案内と、自己紹介が終わった頃、鴻鳥は桜弥を呼んだ


『久しぶりだね』

『うん...本当に...』


話したい事は沢山ある
だけど、言葉が出てこない

『鴻鳥先生、今日はもう上がりでしょ?』

『そうそう!桜弥先生も明日からですよね?』


ニヤニヤしながら二人を見る
鴻鳥は苦笑いすると、一緒に帰ろうと桜弥を促す

『明日からお願いします』

と、名前がもう一度頭を下げると歩き出す

『鴻鳥先生、驚いてたけど優しい顔してましたね』

『下屋先生もそう思う?あの二人、いい感じになるかもね』

『バカバカしい』

騒ぐ二人に言い残し、去って行くと後ろから、素直じゃない〜!と小松と下屋の声が聞こえたが聞こえない振りをした

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