お昼寝〜鸛鳥中編〜

□音楽と君〜予感
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着替えを終えると、桜弥の元に向かう
今日はオンコールも当たっていない

『お待たせ』

『大丈夫!』

フワリと微笑むその顔はあたり前だけど大人びて
髪も伸びて、後ろで纏められといる

すっかり大人の女性になっていた

纏う雰囲気は、柔らかいまま

名前を見て、胸が温かくなるのを感じた

『サクラ...』

『ん?』

桜弥の声に、胸が高鳴る
昔、彼女に抱いていた感情とはべつものなのかもしれない



『ふふっ、会えるとは思って無かったから』

『僕もだよ...明日から一緒に働けるんだね』

昔の様にまた一緒に笑えてる
今はそれだけで充分だ

話をしながら、歩いていると僕の家の近くに住んでいる事が分かった

養護施設で一緒に弾いていたピアノを、ずっと続けていて、里親に誉められたのが嬉しくて、参加しなボランティアで自分が弾いたピアノに感動してくれたのが嬉しくて、音楽で人を少しでも癒せる道に進みたいと思ったとか、沢山話をした


『桜弥、ご飯食べてく?』

『良いの?』

『うん...簡単なものしか作れないけど』


『クスッ、じゃぁ私が何か作るよ!だから、サクラの話も聞かせて?』



まるで、長い時間会えなかった溝を埋める様に沢山話をした
温かい手作りの食卓を二人で囲み、笑みも絶えなかった

.


『あ、もうこんな時間』

時計に目を向けると、10時を指そうとしていた
明日の準備もあるだろう

今から帰って、色々していれば睡眠に入る時には日付が変わる頃だろう


『遅くまで引き留めてごめんね?送ってくよ』

『いいよ!私もサクラとお話したかったし!大丈夫よ!向かいのマンションだよ?』

クスクス笑ってコートを着る名前を見て、自分もコートを着る

『向かいでも、心配だから』

『じゃぁ、お言葉に甘えて』

二人で微笑むと、桜弥の住むマンションへと向かう

『サクラ、またサクラの家に行って良い?サクラのピアノが聞きたい』

『桜弥なら、良いよ...ん、桜弥に沢山聞いて貰いたい』

『嬉しい!あ、私の部屋ここなの!送ってくれてありがとう』

『あぁ、また明日...ゆっくり休んで?』

ポンポンと頭を撫でる
桜弥は、微笑むとありがとうと言うと部屋に入る

扉を締める直前に、また明日と微笑む顔が見えた

『また明日』

ただそれだけ...それだけだけど、心が温かくなるのを感じた


また、二人の新しい時が進む予感がした

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