お昼寝〜鸛鳥中編〜

□音楽と君〜恋〜
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あれから、桜弥は午前中と午後、そして、少人数のグループに分けて、産科や小児科に入院してりる母親や子ども達を集めピアノを弾いている


皆で歌える歌や、リクエストに応えたり評判は上々だ

『如月先生、凄いですね!』

下屋は、産科に入院している母親や子供の両親から週に一度回ってくるこの時間が楽しみだと、聞いてほぅ...とため息をつく

『そうそう!平等に回るようにグループ分けもしてるみたいだし』

時々聞こえてくる音楽や、子供の笑い声にこっちまで元気になるんだよね!と小松も便乗する


『診察を終えた妊婦も話しててたぞ』

四宮も珍しく自分から話の輪に入る
どうやら、ピアノの音や元気な子どもの声はよく聞こえるらしい


『お疲れ様です』

そんな渦中の人物が姿を現す

『あ!如月先生、今先生の話をしていたんですよ!』

『私?何かしたかな?』

『違うわよ!先生のピアノの話!患者さんに評判なのよ〜!』

えぇ〜!大袈裟ですよ!と桜弥はクスクス笑う
本当ですよ!とまた元気な声が響く


『如月先生、楽しそうな所すみません』

『今橋先生!どうかされましたか?』

パタパタと今橋の方に向かう

『これ、ありがとうございました。ベビー達もいい反応を示してくれました』

『本当ですか?良かったです』

『それ何?』

少し興味が湧き、二人の会話に入ってみると桜弥がニッコリと笑みを浮かべ一枚のCDを僕の視線に入れる

『私が作った曲だよ』

『普段、あそこは機械音しかしないからね。ベビーやスタッフも気分が紛れるよ』

もちろん、大切な機械音の邪魔にならないように工夫してくれてたしね

ありがとうとお礼を残し、今橋はまた仕事に戻って行った


『今度聞かせてよ』

『サクラは弾けるじゃない』

穏やかな口調での会話が繰り広げられ、その回りは空気がホワホワしている


『小松さん、何か病院だってこと忘れそうです』

『あの二人、このまま良い雰囲気になったりして...ねぇ、シノリン..』

『良いんじゃないですか?サクラは最初からその気だったみたいだし』

『えぇ〜!そうなんですか?』

下屋の視線に鴻鳥と桜弥の視線が向く

『どうかしましたか?』

『下屋、元気だね』

フワフワてした空気のまま視線を向けられたので、いえ...と声のトーンを落とす

どうやら、この二人の恋への時間も進み始めようとしているようだ

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