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□三話
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夏休み〜


小梅部活動に入っていないためフルで地獄の仕事をするはずだった。



椚ヶ丘中学校〜


クーラーの効いた教室内。

「何故、私だけ夏期講習強制参加しなければならなかったの?お母さん」

「...僕は君の母親になんか、なりたくない!」

今日も小梅に戯れられる浅野くん。事の始まりは、夏休み開始一週間前...



夏休み開始一週間前〜


「夏休み中に一学期の復習や二学期の予習をする。参加出来る人はなるべくしとけ。夏休みで差が大きく広がるからな。」

担任の言葉を聞きながら皆、夏期講習の時間割り表とにらめっこしている。
そんな中、小梅は不参加でいる気満々であった。

「休み土日とお盆だけ。お盆の前後は忙しいからなぁ。不参加に丸しよう。」

「小梅、君は強制参加だ。」

「え?...何故強制なんだい!がっくん!」

「...略すな!」

「良いじゃん、がっくん。」

お互い良く話をするので、名字ではなく名前で呼ぶようにしたのが、ちょうど梅雨明け。ただ、‘学秀くん’は言いにくいと思った小梅は‘がっくん’に勝手に変更した。

「とにかく、君は強制だ。」

「切実に忙しいのにぃ〜」

「君の話す神や悪魔、宗教の裏話は面白い。歴史にも詳しい。社会のテストは細かいから、君みたいに蘊蓄(ウンチク)が豊富な人がいると楽なんだ。」

「否定出来ない。確かに社会は色んな知識を問われる問題が多いからね。地名の由来、特産品の収穫条件、法の利点、非利点、国々の思想、知ってて損は無いからね。」

「だから君は強制だ。」

「はいはい。どうぞ私をご活用ください。ただし、」

「...なんだ?」

小梅の真剣な顔を見て、浅野はどんな交換条件が来るのかと少々緊張した。が、

「私が来た日、‘いちご煮オレ’奢れ。」

「......‘来た日’と言う事は、休む日があるのか?」

「う〜ん、どうしてもお盆の前後は休む。」

「それ以外の日はちゃんと来いよ?」

「うん。...お母さん」

「僕は君の母親じゃない!」

結局はいつものやり取り。
よって、小梅の夏期講習、強制参加は決定した。






現在〜


「小梅、その煮オレ美味しいのか?」

浅野が隣に座って紙パックのジュースを飲む小梅に質問した。

「ん?甘ったるくって美味しいよ?友人のお薦め。」

小梅の言う友人とはあの‘赤羽業’だが、浅野はそれを知らない。

「君に友人なんていたのか。」

「いるよ。しかも今日の‘具体的占い’で、“‘あ’で始まる名字の人が隣に座っている君!帰りに寄り道すると新しい友人が出来るよ!”って。」

「...本当に具体的だ!具体的過ぎて妙に信用性がある...。」








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