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□四話
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椚ヶ丘中学校〜学食の隅

少女と女の子のような少年が楽しげに話して居た。


「‘かちかち山’にも童謡があるんだよ。ほら、‘滝廉太郎’聞いた事あるでしょ?」

「あぁ、音楽でやったよ。‘花’歌った。」

「そう、その滝廉太郎が作ったの。」

学食の隅で会話に花を咲かせる小梅と渚。

「‘荼吉尼天’あれはどんな神様なの?調べても情報が多くてさっぱり...。」

「う〜ん、稲荷大明神が2柱なのは知ってる?」

「うん。荼吉尼天と宇迦御魂だよね?」

「そう。で、荼吉尼天。彼女は神様になる前は‘悪鬼’だったの。」

「‘アッキ’?」

「うん、‘悪い鬼’っと書いて‘悪鬼’。
やたらに死期の近い人間を見極めるのが上手かったの。そして死期を待ってはその死肉や心臓を食べる化け物だった。」

「そんなのが神様になったの!?」

「うん。確か、荼吉尼天が狐に乗って死者を食べてたら、宇迦御魂とキャラがカブッちゃったの。両方‘狐を連れた謎の女’だったから。」


二人は時間一杯まで話し、各教室に戻った。






A組


「最近、D組の奴と仲が良いようだが?」

小梅にそう問いかける浅野。

「うん。なーくんは友達だからね。」

「小梅、あまりD組の奴とは...」

そこから先は言わせないように小梅は浅野の鼻先を人差し指で押した。

「豚鼻。」

そう言われ、浅野は小梅の手を払った。

「ッ!小梅!」

「ダメだよ。周りを気にし過ぎたり、大人の言葉に従ってばかりでは、ダメ。」

浅野は言い返そうとしたが、開けた口を閉じた。その代わり深い溜め息をつく。

「...今日の事は忘れてくれ。」

「大丈夫。3歩歩けば忘れるよ。」

「君は鶏か?」

小梅のいつも通りな能天気さに、先程のイライラしていた自分がバカらしくなった。





A組の隅〜女子三人組の会話


「浅野くんと加々知さんって付き合ってるのかな?」

「休み時間いつも話してるもんねぇ。」

「でも加々知さん、最近お昼休み、D組の子と一緒にいるらしいよ。」

「あぁ!確か、ええと、なんだっけ?名前」

「さぁ?でも女みたいな格好したキモい奴だよ。」
ガンッ!!

一人の女子生徒の顔の真横をシャーペンが通り過ぎ、後ろの壁に突き刺さった。

女子生徒は驚いて壁に刺さったシャーペンを見て小さな悲鳴を出した。

「ヒィッ!」

飛んできた方向をゆっくり振り向くと、小梅が無表情でこちらを見つめていた。思わず息を飲むと、

「何してるんだ!!」

浅野が怒鳴りながら小梅の頭を叩いた。

「ゴメンゴメン。手が滑っちゃって...」

「今のは滑ったどころの話しじゃないぞ!人に当たったらヤバかった!!」

「あっはっはっ」

「笑い事か!」

小梅は何事も無かったように、いつもと同じように笑っていた。





後日、こんな噂が流れた。
“加々知小梅の友人の悪口を言ったら殺される”と。






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