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□五話
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体育祭や文化祭も終えて、もうすぐ冬休みに入る頃。
今日、小梅は理事長に呼ばれていた。日直のため早めに登校したところを狙われたのだ。‘お話があります。放課後、私のところに来なさい。’っと言われた。
コンコン
「加々知小梅です。」
「入りなさい。」
ドアをノックして名乗ると中から理事長の許しが聞こえた。‘失礼します’っと言ってからドアノブを回し、入室すると椅子に座った理事長と目があった。
ドアを閉め理事長の机まで歩み寄る。
「お話とは何でしょうか?」
「本校にイギリス留学の話が来ていてね。定員は一人。向こうにいる間、本校の出欠席は向こうの学校の出欠状況を反映させてもらう。」
「私に行けと?」
「あぁ、是非君にお願いするよ。テストがとても退屈そうなのでね。」
「否定できません。ですが、親とじっくり話したいです。冬休み中考えさせて頂けませんか?」
「いいでしょう。休み明けに聴かせて欲しい。良い返事を待っているよ。」
地獄〜閻魔庁〜執務室
「っと言うことになってしまいました。どうお断りしましょう?」
日本の学校の視察をする事が今回の小梅の仕事だ。その場所から離れては意味がない。小梅は書類上保護者の鬼灯に同意を求めた。しかし、
「いえ、承諾してください。」
「...え?」
小梅は戸惑った。この重症の仕事中毒者がまさかそんな事を言うとは思わなかったのだ。思わず筆が止まってしまったが、またすぐに動かし始めた。
「ただし、一年間だけという条件付きです。」
「一年間...あ!特別強化クラス!」
「それだけではありません。EU地獄から人員の一時交換が提案されました。こちらも期間を一年としてしまえば、ちょうどいいでしょう?」
「先方がお許しくださいますか?それ。」
「心配要りません。無理矢理にでも判を押させます。」
「承知致しました。では、一年間出張させて頂きます。」
「あちらに嘗められないように励んでください。小梅さん。」
「はい!甘ったれた方々を蹴り飛ばして参ります!」
「その意気です。さぁ、残りの仕事を片付けますよ。」
そう言って机の上の書類を捌いて行く鬼灯。その姿を真似るように小梅も仕事のスピードをあげた。
後にEU地獄にベルゼブブが悲鳴響き渡った。
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