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□六話
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三年生の4月下旬〜


彼女はまだ帰って来ていない。








空港〜午前 6:45


「今から行けば、HRには間に合うかな。」







椚ヶ丘中学校〜校門〜午前8:24


「今日は休み扱いだから見つからないようにしないと。」

そう言って少女はE組への山道を目指した。






E組〜8:32


E組の生徒達は各々の友人と楽しげに会話をしている。
そんな中、ある少女が、外から教室の前の窓を開け放った。

ガンッ
「ごきげんいかかが!?」

ほぼ全員がまず思った事は‘誰!?’である。だが、数人は思い出したのか、顔が険しくなる。その内の一人、前原が開けられた窓の前、つまり少女の前まで行く。

「本校舎の人間がなんの用だ。」

前原の嫌味の言葉も聞かずに少女は目的の人物を探す。

「......小梅ちゃん?」

「あ!なーくん見っけ!カルくんも居た!」

相手の方から声をかけてくれたため見つけられた。
他のE組メンバーは、いまだ状況を理解出来ずにいる。

「渚、知り合い?」

「うん。友達。」

茅野の質問に応えながら渚は小梅に近寄った。

「おかえり。いつ帰って来たの?」

「ただいま。今朝だよ。」

その時、カルマが渚の後ろからひょっこり顔を出した。

「久しぶり、小梅。ホントに渚くんのところに突撃してきたね。」

「なーくんとの約束だもん。そうそう、お土産はファベルジェの卵。」

そう言って背負っていたリュックから手のひらサイズの卵型の置物を出した。色は赤と青。

「インペリアル・イースターエッグ?イギリスだっけ?これ。」

「小梅、これロシアのだよね?」

「うん。修学旅行でロシアに行った。」

「イギリスじゃないんだ...。」

「イギリスはいまいちピンっと来なかった。」


「あの、加々知さん...。」

前原が恐る恐る小梅に声をかけた。

「ん?」

「悪かった。渚の友達って知らなくって、つい...。」

「あぁ。別に気にしてないよ。警戒しない方が変だよ。」

そう小梅が言った後、教室に殺せんせーが入ってきた。E組以外の生徒が居ることに気付いていたようで、クオリティーは低いが変装をしていた。

「さぁ皆さん!挨拶をしましょう!君も早く本校舎の教室に戻りなさい。」

「教室には戻りませんよ。今日は帰国のため休みにさせて頂きました。」

「‘帰国’という事は、貴女がイギリス留学生の‘加々知小梅’さんですか?」

「よく知ってますね。そう言う貴方は人間じゃない。UMAですか?」

「にゅやっ!!バレた!?」

『当たり前だ!!!』

E組全員で殺せんせーにツッコミを入れ、ブーイングの嵐が起こった。

「あはは...。」

「あれ、バレないって思ってたんだ殺せんせー。」

渚とカルマの楽しそうな笑顔に小梅は少し安心していた。本校舎の生徒達に酷く虐げられていないか気になっていたのだ。杞憂に終わって良かった。

「そういえば、今日帰って来たんでしょ?何で僕達がここに居るって分かったの?」

「何でって、がっくんにモーニングコール序でに聞いた。」

「‘がっくん’?」

「浅野くんの事。」

「大変そうだね。浅野クン」






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