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□八話
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体育館


「あれ?加々知さんは?俺等より先に来てる筈なのに......いない?」

磯貝の声が体育館に響いた。









山の中


殺せんせーと小梅が向かい合う。

「加々知さん。貴女は何者ですか?貴女の住所は存在しない。さらに戸籍も。」

問い詰めるように殺せんせーが言う。それに対し小梅は微笑むだけ。

「初めて会った昨日は、女性の月のモノと思っていました。ですが、今日会って違う事が分かりました。まるで暗殺者。
貴女の全身から血の臭いがする!
何故ですか!?」

無意識だろう。大声になる殺せんせー。

「私は狐ですよ。聞いた事ありません?‘管狐’。」

「...日本の中部地方に伝わる妖怪ですね?」

「そう、それ。...残念ながらこれ以上は何も話せません。」

「なぜ?」

「言えない物は言えません。」

「にゅぅ...。」

「しかし、」

小梅は愛しむかのような顔で旧校舎のある方を見上げる。

「私は子供が大好きです。何千年経ってもこれは変わらない。どうしようもなく好きなんです。
だから、あの子達が、暗殺教室を卒業するまでは、守ります。」

「まも、る?」

「話す事は出来ずとも、行動はあまり制限されていないので、貴方を狙う暗殺者が彼らに手を出さないように。殺されないように。守る事は出来ますよ。
......貴方の知らないところで動いている者がいる。」

「加々知さん...」

「さぁ、集会に行きましょう。もう始まっています。」

小梅は殺せんせーの横を通りすぎ、体育館へ向かう。
その背を殺せんせーはただ見つめていた。









体育館〜出入口前


「加々知さん。」

体育館の扉の前に烏間先生は立っていた。小梅は呼び止められたので事情を話した。

「すみません。ちょっと殺せんせーと家庭問題で話をしていたので...。後、途中ビッチ先生がへばってましたよ?」

「ほっといていい。集会は始まっている、行くぞ。」

「はーい。」

烏間先生と小梅は扉を開けて体育館内に入っていく。
烏間先生は先生方の方へ行き、小梅はE組女子の最後尾、矢田の後ろに並んだ。
小梅が本校舎の生徒の羨ましがる声を聞いていると、隣にいた吉田が声をかけた。

「今までどこにいたんだよ?他の奴ら、心配してたぞ。」

「ちょっと殺せんせーと話してた。...あ、ビッチ先生も来たみたい。」

吉田が小梅の言葉に後ろを向くとビッチ先生が歩いてきていた。

「...カッコつけてんなぁ。」

ビッチ先生が烏間先生の隣に並んだかと思ったら渚と話始めた。

「お、なーくんに絡んでる。そして烏間先生に連れてかれた。」

「相変わらずのビッチ。」

吉田が呆れていると集会は生徒会行事の話に移っていた。

「はい、今皆さんに配ったプリントが、生徒会行事の詳細です。」

スピーカーから聞こえた言葉にE組だけ戸惑う。

「プリント何て無いよな?」

吉田が小梅に話かけた。

「う〜ん、原本1枚と白紙プリントが26枚ならくすねてこれた。...どうぞ使って。」

小梅は持っていた紙の束を誰もいない右側に放った瞬間、E組の周囲にだけ突風が吹いた。26枚の元白紙のプリントには、原本と同じ内容が手書きで書かれ、E組生徒全員の手に渡った。

「磯貝君、問題ないようですねぇ。手書きのコピーが全員分あるようですし。」

烏間先生の隣に、いちよう変装をした殺せんせー立っていた。

「はい。」

名前を呼ばれた磯貝は頷いた。

「あぁ、プリントあるんで、続けて下さい。」

磯貝が呼び掛けると壇上にいる生徒は焦っていた。

「え?うそ、なんで?誰だよ、笑い所潰した奴。」

焦った声を聞いて‘テヘッ’とペコちゃん顔をした小梅。

「サンキュー。」

吉田が呟いた。





「今日の鳳凰占い!今納豆を食べている君!集会があるなら予備のプリントを持って行く事!!今日1日、友だちと一緒にハッピーに過ごせるよ!!」

「朝は納豆派なんだよねぇ、私。」





...
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