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□五話
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冬休み明け
早めに登校した小梅は理事長室にいた。
「返事を聴かせてもらえるかな?」
「...親にも仕事があります。イギリスへは私一人が行く事になるでしょう。親はあまり離れたくないっと言っておりました。私も親と同意です。よって、‘一年間だけ’っと言う条件を承諾してくださるならば、留学させて頂きます。」
A組〜SHR前
「がっくん、がっくん。」
小梅に呼ばれて浅野は机に広げていた参考書から顔をあげた。
「なんだ?」
「私、3月からイギリスに行く事になった。」
さらりっと言った小梅の爆弾発言。浅野は鳩が豆鉄砲くらった顔をした。
「......イギリス?」
「うん、イギリス。なーくんとカルくんにも話して来る。」
そう言って教室を出ていく小梅を浅野は呆然と目で追った。
「今、1月だよな...?」
はい。エイプリルフールじゃないです。
D組〜SHR前
「なーくん、カルくん。」
渚とカルマは二人で話していたところを小梅に声をかけられたので、二人一緒に小梅のいる教室の入り口に向かった。
「何?」
「こんな時間にどうしたの?もうすぐ朝のHR始まるよ?」
「うん。私、3月からイギリスに留学する事になった。お土産、何が良いか考えといて。」
「食べ物は美味しくないだろうから物が良いなぁ。」
「了解。なーくんは?」
「え、ちょ、待って!!」
爆弾を投下する小梅に、それをするりっと受け入れ自分の要望を伝えるカルマ、小梅の言葉を受け入れられず混乱する渚。
「イギリスっていつ帰って来るの?」
「一年間だけだから三年生になったら帰って来るよ。」
「そう...。」
せっかく出来た友人が一人離れてしまうっと思い、俯く渚の頭を小梅の手が撫でる。
「そんなにしょんぼりしなさんな。帰って来たら、真っ先になーくんのところに突撃してあげるから。」
そう言って笑う小梅に渚は頷いた。
「うん。約束だよ。」
...五話終わり