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□七話
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小梅がE組に加わって2日経った時、事件が起きた。


「岡島くん。」

「は、はい!」

「片岡さんに言われたでしょう?‘女子の前でエロ本読まないで’って。私の見た限り今、彼女に注意されて3回目。知っているでしょ、仏の顔も三度まで。明日、報いを受けるよ。きっと。」

岡島の顔が青ざめた。

「じ、慈悲をぉ〜!!」










彼女がそう岡島に言った翌日、全校集会のため、E組は昼休み返上で体育館に向かって行った。


「橋がぁ!!岡島!?」

まず、三村の叫びが響いた。彼らの渡ろうとした橋が崩れたのだ。三村と千葉は早めに岸に上がれたが、岡島は川に揉まれた。


「キャー蛇ぃ!!岡島くーん!?」

矢田達が蛇に遭遇したが、蛇達は岡島を標的に変えた。


「落石だぁ!!お...岡島!?」

寺坂達が大きな落石に襲われそうになった時、蛇を巻き付けた岡島が走ってきたため四人は思わず避けると、落石は岡島を追い始めた。


「誰だよ!?蜂の巣刺激したの!!お...岡島!?」

渚達が蜂に襲われかけた時、蛇を巻き付けた岡島がまたもや標的にされた。

「岡島の奴...なんかすごい事になってたけど...大丈夫かな...?」

「あれが加々知さんの言ってた‘報い’?」

「多分...。」

杉野が岡島を心配し、菅谷が小梅に対して恐れを抱いていた。

「そういえば、その加々知さんは?」

茅野が小梅を探してきょろきょろ周りを見ていると渚が言った。

「あぁ、ビッチ先生呼んで来るって引き返したよ。多分...そろそろ、」

「ちょっとぉ〜、あんた達ぃ〜!」

「あ、ビッチ先生。」

渚が呟くとビッチ先生の叫び声が聞こえ、息を切らせながらビッチ先生と小梅が渚達に追い付いた。

「近道したら追い付いたね。」

「小梅ちゃん...さっき岡島君が...。」

「これで懲りてくれれば良いんだけどねぇ?」

「こぇよ!!」

小梅の笑顔に杉野がツッコム。



「...もう少しってところで、何で熊がいるんだよ......!」

渚達が進んで行くと先頭の磯貝と前原に追い付いた。二人はしゃがみながら茂みの奥を見ていた。先程の発言は前原のものだ。

「どうしたの?二人共?」

「ッ!全員しゃがめ...!」

後ろから来た渚達に気付いた磯貝が小声で言った。
よく分からないが言われたようにしゃがむ渚達。しかし、小梅だけはしゃがまずにいた。

「どうしたの?磯貝君。」

「熊がいる。」

渚の問いに短く答える磯貝。
それを聞き、恐る恐る茂みの奥を覗く。
そこには親熊サイズが一匹、こちらをじっと見ていた。

「ヒッ...!」

誰かが漏らした声に反応して、こちらにゆっくりと歩み寄る熊。

「......失せろ」

皆が恐怖で思考が停止している時、低い声が後ろから発せられた。思わず後ろを振り返ると小梅がじっと熊の目を見ていた。まるで威嚇するように。
磯貝は焦った。それでは熊を刺激してしまうっと。しかし、予想に反して熊は少しずつ後退し、数歩下がったところで背を向けて走り去った。その姿は怯えているようだった。

「偉いね。ちゃんと上下関係が分かってる。」

そう言い残して小梅は一人、山道を降りて行った。

「助かったぁ〜…。良かった、小梅ちゃんがいて。」

「彼女、何?動物調教師?」

「う〜ん...。」

渚は安堵したが、前原の問いかけに答えられなかった。









小梅は渚達と別れた後、本校舎へは向かわず、脇道を歩く。やがて誰もいない獣道になり、そこで止まった。

「ここなら人は来ません。聞きたい事、あるんでしょ?」

小梅は前を見たまま、誰かに話かけるように言った。そして、後ろを振り向き、そこにいた者の名を呼んだ。






















「殺せんせー。」


...七話終わり
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