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□八話
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体育館

「その変装、ボロが出やすいですよ。」

「そうですかねぇ。自分としては完璧なんですが...。」


「E組はE組らしく下向いてろよ。」

小梅が殺せんせーと一緒に体育館を出ようとした時、そんな声が聞こえた。声の聞こえた所を見ると、渚が本校舎の生徒二人に絡まれていた。

「まったくこの学校は...。」

烏間が3人の所へ行こうとするのを殺せんせーが肩を掴んで止めた。

「あの程度の生徒に屈しはしませんよ。私を暗殺しようとする生徒たちはね。」

そう言った殺せんせーの付け鼻が取れ、地面に落ちる前に小梅は掴まえたが、

「殺すぞ!あぁ?」

3人の方から聞こえたその声に手に力が入り、‘バキッ’と手の中で砕けた音がした。

「...か、加々知さん?」

小梅が出す殺気に動揺する烏間先生。

「ちょっと、注意してきます。」

そう言って小梅は3人の所に歩いていく。ちょうど渚が本校舎の生徒二人に殺気を出して怯ませたところだった。渚が山道に向かうと二人の視線は渚を追う。
だから本校舎の二人は気が付かなかった。背後から来る小梅に。

「私の友だちを殺すだなんて、いい度胸してるねぇ?」

「ヒッ!」

「か...加々知さん、」

二人は焦った。1年の時の噂を思い出したのだ。‘加々知小梅の友人の悪口を言うと殺される’と言う噂を。

「最近の子供はいけないねぇ?すぐ‘殺す’だなんて、命を軽んじる事を言う。...一度死にかけたら命の重さ、解ってくれるのかなぁ?」

じっと無表情で二人を見る。
しかし、二人には自分を見ているのか、空を見ているのか分からず、言い知れぬ恐怖を感じていた。

「道中、お気を付けて。」

そう言い残して小梅はゆっくり歩み出し、数歩進んだ所で上にあった監視カメラに向かって舌を出した。


「私の生徒達はヤる気が違いますから。」

殺せんせーが言うが、烏間先生はただ唖然としていた。

(加々知小梅......彼女の殺気は人のモノではなかった。例えるなら、獣。
彼女はいったい何だ...?)

烏間は答えの出ない事を悩み続けた。









山道


「自分で答えを探して下さい。マルバツなら答えられます。」

一人で歩く小梅がポツリと呟いた。尾行を気付かれた殺せんせーは難しい顔をしていた。







オマケ


帰国後
地獄〜閻魔庁


「ロシアのお土産、どうですか?」

「黒のファベルジェの卵ですか。...装飾が細かく見ていて飽きませんね。ありがとうございます。」

鬼灯の手には手のひらサイズの卵型置物。

「小梅ちゃん、何でワシの土産がイギリスのお菓子なの?」

「大王はお菓子がお好きでしょう?それに体が大きくていらっしゃいますから、たくさんあった方がご満足頂けるかと。」

小梅はそう言うが閻魔大王の手のひらいっぱいにあるお菓子は、イギリス人でも罰ゲームで使う物ばかり。

「良かったじゃないですか。‘美味しい’物ばかりで。」

「そう言うなら鬼灯君にあげるよ!」

「いえ、大王の物を頂戴する何て畏れ多い。それに小梅さんが大王を思って選んだ物。
...しっかり味わって食べて下さいね。」

その日も閻魔大王の悲鳴は地獄に響いた。







...八話終わり
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