。+恋愛実況+。

□プロローグ
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『今日も学校めんどくさかった……はぁー…。』




学校鞄を放り投げ、自室の椅子に全体重をかける。
長年同じ座り方をしていた椅子はギシギシと音を立てて後ろ側へと軋む。
机の真ん中にあるのは勉強道具でもなく、ノートパソコン。
それを開いて起動させる。
暗かった画面に明かりがつく。
それを確認すると制服を投げ捨てスウェットに着替える。
デスクトップに映し出されるのは見慣れた何の変哲もない背景の画面。
いつもと同じようにインターネットを開いていつもと同じようにとあるサイトを検索していつもと同じようにクリックする。
開かれたサイトは動画サイト。
一般人でも気軽に登録すれば動画を投稿できるという全世界で使われるサイト。
それを開くと、パソコンの横に置いてあった携帯を手に取る。
テンポよく携帯を数回たたくと、ずらっと文字が並ぶ。
こちらも有名なSNS。全世界で誰でもリアルタイムに自由に書き込め、全世界の人と会話ができるというもの。
それをスーッと指でフリックしてとある人のつぶやきを見る。




『お、動画更新されてる。』




某動画サイトと某SNSを連携させると動画が更新されたときに自動的につぶやかれるということもできる。
それを確認してパソコンのキーボードをたたく。
動画を見てケラケラと笑う。











紹介が遅れました。
この青春のすべてをパソコンの中に捧げた引きこもりがちな女の名前は村越 梨那(むらこし りな)。
学校では適当な友達関係を作り、成績も中の上を維持し、私立高校に通っているため学費をまかなうためにバイトをしているなんの変哲もない女子高生。
そんな梨那の唯一の癒しはパソコン。そして動画鑑賞。
そしてもう一つ。




『はい!こんにちはこんばんわおはようございます!実況者のれおと申します!』



ヘッドフォンと口元にマイクをセットして話し出す。
そう、−ゲーム実況者−をしている。
ゲーム実況者というのは、その名の通りテレビゲームやパソコンのゲーム、あらゆるゲームを実況しながらプレイをするというものだ。それを録画、録音、編集をして動画を投稿する。
いかに面白おかしく実況をして、編集で魅了するか、それが実況者としてのやりがいである。
中学生の時にゲーム実況というものを知り、それからすべてを実況にささげた中学生活。
高校に入り、ヘッドセットを買ってもらい、そして、ゲーム実況者へと足を踏み入れたのである。
まだまだ未熟ながらも中学の頃からゲーム実況者と某SNSでかかわりを持っていたため、その人たちにも助けてもらいながら影でひっそりと活動をしている。




『よぅし……できたっと。』




録画停止ボタンを押して一息つく。
保存された動画を開いて確認する。ここはもっと話せばよかったなぁとかなんとか考えながら音声と動画をMIXする。編集は時間かかるから後回し、っと考えて動画を保存して閉じる。
次に開いたのは青いSのマーク。
某無料通話ができるもの。実況者同士でよく通話をしている。
一覧ずらーっとみてオンラインがついてる人に一言もなくかける。




『ぷふーワンギリしよ』



クスクス笑ってワンコール鳴って切る。
するとすぐに通話がかかってくる。
ぶふっと吹き出し通話に応答する。ケラケラ笑うと
通話相手もケラケラ笑う。
これが梨那たちのいつも通りの風景なのである。




そう、ここから始まる。梨那の人生をかえる出来事。



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