翡翠とアメジスト

□山荘包帯男殺人事件
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全員が息を呑むが

『これ以上はどうしようもありません。苦しいと思いますがジャケットをかけて私たちは戻りましょう』

この場でも空瑠は怯えることもなく落ち着いた声で指示を出した。

「お、落ち着いてるんだね・・空瑠さん・・」

顔を青くさせながら高橋が聞くが空瑠は何も感じないわけではない。

『いえ、落ち着いてはいませんよ。内心何故こうなったのかを考えるので必死ですから』

別荘へ戻る道すがら空瑠の後ろ姿を見たものは全員が思うことだった

「「「(この子、本当に17歳の子供なんだろうか?)」」」

別荘に戻り事の表しを話し終え全員で鍵の確認をし寝ることとなった。

玄関の鍵を閉め終えた空瑠たちだがコナンは池田のスリッパがないことに疑問を感じていた。

『園子、この別荘に他に出入り口ある?』

「裏口があるけど」

コナンと空瑠は顔を見合わせ園子の案内のもと裏口に向かえばそこには池田のスリッパがあった。

結局空瑠もコナンも謎が増えただけとなりすっきりしないまま部屋に戻った。

勿論、空瑠は寝るつもりなどはなくと、いうよりも

『傷が疼いて寝れるわけがない・・』

両手で強く握るようにしていないといられず壁に寄りかかるようにして溜息を吐いた。

『蘭は大丈夫か・・?まぁ、新一がいれば大丈夫だとは思うが・・』

「起きろーーー!!!」

そんなことを考えていれば蘭たちの部屋から突然大きな声が響き空瑠は直様部屋を出た。

『蘭!コナン!聞こえるか!聞こえたらこのドアを開けろ!!何かあったのか!!』

鍵が掛かっているため空瑠は外からドアを叩きつければ中から蘭の悲鳴。

『チッ・・蹴破るか』

空瑠が後ろに下がればそれと同時に開けられるドア。

「空瑠・・」

『また襲われたの?』

「うん・・」

空瑠に抱きついてくる蘭を宥めるように背中を叩き中に入れば蹲るコナンの姿。

『なにがあった?』

「包帯男に投げ飛ばされてベッドの足に打ち付けたのよ」

さっきの声で全員が部屋に集まりコナンは手当をされたが

『外は土砂降り・・なのに部屋に水滴が落ちていないか・・』

包帯男が木を使って登ってきたと話す角谷たちの話を聞きながら空瑠は部屋の中を見渡した。

とりあえず全員食堂に集まり朝を待つこととなった。

「もー。どうして包帯男が来た時に空手でやっつけなかったのよ」

「だって・・」

園子の言葉に言葉を濁す蘭に

『仕方ないさ。あんな危険な目にあったら誰だって動けなくなるよ』

頭を撫でる空瑠に蘭は余計に顔を赤くし

「空瑠がこれで男じゃないのよね・・」

呆れた顔をする園子だった。

『コナン、さっき投げ飛ばされたって言ったけどしがみついたりしたのか?』

「うん・・でもそんなに痩せても太ってもいない人だった」

コナンの回答に空瑠はまた考え出した。

「ねぇ、池田さんに最後に会ったの綾子さんだよね。なにか変わった様子なかった?」

コナンの質問にドアの隙間に手紙のようなものが挟まっておりそれを見たあとで顔色が変わったとのこと。

そして別荘に来た時に蘭は何かが引っかかっているというがそれを思い出すことができずにいた。
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