翡翠とアメジスト3

□幽霊ホテルの推理対決
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しかし世良はエレベーターを待っている時に2階と6階で止まったと話す。

エレベーターが動いていたのは1機のみ。

別館に犯人が潜んでいる可能性がゼロではないが、捜査員からの報告は無し。

そして監視カメラは上住がスプレーで塗りつぶし何も映っていなかったと高木は話す。

『なるほど。だとすれば・・』

「別館で誰が何をしようと」

「気がつかれない」

探偵三人はそれぞれ口にしニヤリと笑みを浮かべた。

「ワクワクしてきたね!坊や!それに女性名探偵!」

『言葉を慎むべきですよ。亡くなった方が居るんですから』

世良はコナンの頭を乱暴に撫でるが空瑠は無表情になり世良に注意し、世良も空瑠の言葉と雰囲気に萎縮した。

そして振り込め詐欺の被害者たちはホテルのある噂を目暮に話した。

それは夜中誰も乗っていない車椅子が徘徊するという老人の幽霊の話し。

目暮たちはエレベーターが止まったという2階に行ってみるが落書きの多さと電動車椅子があるのみ。

そして千葉が発見した時にはまだ動いていたという。

『随分長い釣り糸、それに先端には切れた数個の輪ゴム』

「足掛けにも何かでぶつけたような傷があるよ」

探偵たちはそれぞれ頭を悩ますが未だ真相にはたどり着かず

「空瑠」

コナンは小声で空瑠を呼び

『新一が考えてることはわかるよ。私も同感』

そう、空瑠とコナンが考えているのはこの車いすを使って上住を転落死させたのではという推理。

次に向かったのは6階、同じく落書きが酷いことと

『これが上住さんの割った窓・・ね』

空瑠は慎重に近づき下を覗けば

『転落現場の真上ねぇ』

何かを考えるように呟き

「何かあそうだね」

同じように下を覗く世良は空瑠に同意を求めるようにニヤリと笑った。

そしてコナンは窓の下の壁に大量のペンキが塗られているのに気がついた。

『完全に乾いてるね』

「空瑠」

コナンの上から同じように空瑠もペンキを見下ろし触れてみればペンキは完全に乾いていた。

「あぁ、その上に何かが置いてあった様な跡があるんだ」

『アレじゃない?』

空瑠は親指を後ろに向けコナンも指さされている方を見れば何かがぶつかったのか傷のついたペンキ缶が転がっていた。

『前後に開く二つ扉、釣り糸のついた電動車椅子、そして幽霊騒動。わかっただろ?』

空瑠は単語のように言葉を並べコナンにニヤリと笑うが

「あの昼川っておばさんだよ。犯人は」

「「えっ?」」

得意顔で世良は指示通りにして欲しいと頼み空瑠とコナンは顔を見合わせた。

「空瑠、どうすんだ?」

コナンは空瑠に小声で話し掛けるが

『お手並み拝見じゃないかな?間違っていれば訂正すれば良い。合っていれば私は解かなくて済む』
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