翡翠とアメジスト3
□幽霊ホテルの推理対決
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人形が落下した後に残った車椅子は世良が言ったトリックと同じように釣り糸で引っ張られ窓の方からエレベーターの方を向いた。
あとは犯人が2階と6階のボタンを押すだけで車椅子は自動的に6階から2階へ下ろされ発見された時には何故か動き続けているという状況になる。
『後は被害者の衣服から犯人の衣服の繊維が出れば決まりでしょう』
「女性が大の大人を車椅子に乗せるにはしっかりと体を抱えなければなりませんからね」
『最も、振り込め詐欺の首謀者である被害者とその被害者の遺族である貴女が和解して抱き合ったと言うなら話は別ですが?』
空瑠は昼川に視線を向ければ昼川は鼻で笑い
「そんな偽証をするくらいならはっきりと言いますよ。私があの男を車椅子に乗せて地獄へ叩き落としてやったとね!」
昼川はそう言うとすべてを自供した。
しかし、あのトリックは元は被害者である上住が考えたものでありマスコミや別館にいた客を追い払うためだったらしく昼川は窓の下にペンキ缶を置くのを思いついただけだった。
振り込め詐欺はグループで行われていたことが明らかになりその仲間も次々に捕まり振り込め詐欺は被疑者死亡のまま書類送検され振り込め詐欺の殺人事件と共に幕を閉じた。
そして・・帝丹高校では
「えっ!?あの事件新一と空瑠で解いたの!?」
『まぁね・・私は助言しただけだけど』
園子は高木から聞いたらしくそのことを知った蘭は空瑠に視線を向けるが空瑠は本から蘭に一瞬視線を向けそう言うとまた本に視線を戻した。
そして・・
担任に紹介されてやって来たのは
「僕の名前は世良真純!よろしくな!」
蘭と園子は世良が女だった事に驚くが
『あれ?知らなかったの?』
一人平然とした顔をする空瑠に蘭と園子は更に驚き
「よろしくな!女性名探偵。いや、白夜空瑠さん?」
隣の席になった世良は空瑠に話し掛けるが何故か最後だけニヤリと笑い
「アメジストの瞳、抑揚のない声、大人びた態度、ずば抜けた推理力」
『・・・』
淡々と空瑠の特徴を述べていく世良に空瑠は視線を鋭くし
「君のことはよく知ってるよ。よくね」
挑発的に笑う世良の姿が
『(秀一さんそっくりだな・・物は試し・・か)』
空瑠は自身の仮説を試すために目を瞑ると口元にだけ笑みを浮かべ
『ほー。よく知っているようだが生憎と、知られるだけは嫌でね。情報は50:50にしないか?』
赤井の口調を似せながら話し目を開ければ世良は一瞬驚いた表情をした。
しかし空瑠にはその一瞬で確証を得るには十分であり
『その内教えてくれればいいですよ』
敬語に戻し自然な笑みを見せれば世良も笑い
「やっぱり鋭いや!」
と言うが蘭と園子は意味が分からず首を傾げたのだった。