蒼と翡翠の想い

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そして赤井は自分が借りているマンションまで着くと再びを空瑠抱き上げなるべく揺らさないように心がけるとそのまま寝室のベッドに寝かせた。

起きる様子の見られない空瑠に

「疲れているんだな」

殆ど寝息さえ聞こえない空瑠に時折不安になるが耳を近づければ聞こえる呼吸音にホッと息を吐き寝苦しそうなスーツの上着だけ脱がせるとそのまま布団を掛けた。

「この分だと食事もまともに摂っていなかったんだろうな」

窶れた頬を撫でながら赤井は呟くと再び部屋を出ていった。

「軽い物なら食えるだろうか・・?」

最近自分がお気に入りとなっているサンドウィッチと珈琲を買いにマンションを出た赤井は首を傾げながら店に向かった。














『んっ・・ここは・・どこ?』

目を覚ました空瑠は病院でも、自分の家でもない天井や布団、匂いなどに首を傾げた。

『確か・・赤井さんと話してて・・・?その後の記憶がない』

溜息を吐きながら上半身を起こし記憶を辿るがどんなに思い出そうとしても赤井と話していた後の記憶は存在せず消去法で

『赤井さんの家ってところかな』

再び溜息を吐きふと手首に巻いていた時計を見れば

『1時間・・』

そんなに寝ていたのかと肩を落とした。

『このくらいは寝れたって思うべきか、睡眠時間が足りないと嘆くべきか・・』

どちらにしろ起きてしまったものは眠れないので空瑠は掛けられていたスーツに袖を通し部屋から出ようとドアノブに手をかければ

『えっ?』

勝手に開かれた扉に空瑠は踏ん張ることができず倒れそうになるが

「っと・・目が覚めたか?」

勿論、それは受け止められ顔を上げれば片腕に紙袋を持ちながら空瑠を見下ろす翡翠の瞳とかち合った。

『ごめんなさい・・迷惑を・・』

「別に迷惑ではないが・・眠れたのか?」

あれから1時間ということに赤井は驚き瞬きをしながら問いかけた。

『あ、はい。眠れました』

「そうか。食欲はあるか?」

『えっ・・まぁ、軽いものなら食べられますが・・』

「そうか。なら、一緒に食おう。俺もまだだったからな」

そう言って赤井は空瑠の肩を抱くように腕を回すとそのままリビングに向かった。

「座っててくれ」

ソファに座らされた空瑠はその言葉通り大人しくし頭を押さえると軽く頭を振った。

「どうした?」

丁度キッチンから戻ってきた赤井は空瑠の様子に目の前でしゃがみ顔を覗き込んだ。

『あ、ごめんなさい。寝起きなので頭が働かったので』

軽く頭を振って目を覚まそうとするのは空瑠の昔からの癖だが、他者から見れば体調が悪いようにも見えるその行動に赤井も例外なく心配そうに覗き込んだのだった。

「謝らなくていい。大丈夫ならそれに越したことはない」
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