翡翠とアメジスト2
□残された声無き証言
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今日も空瑠はwingsの情報で黒の組織に繋がる情報が入ったという連絡を受けてそのホテルへ向かった。
『それ、本当なんですか?』
「間違いないよ」
ホテルニュー米花のとある一室で空瑠は壁に背中を預け椅子に深く腰掛ける羅瑠に確認した。
「二つ隣の部屋の主板倉卓さんは奴らと繋がっている」
『よく・・・そんなことがわかりましたね』
空瑠は呆れたように肩を竦めた。
と、言うのもこの情報は空瑠もまだ入手できていないものだったからである。
「私も、未だ現役ということだよ」
羅瑠はそう言ってフッと笑みを零した。
『現役云々ではなくさすが父の右腕としか私は言えませんよ』
同じように笑みを浮かべていた空瑠に羅瑠は椅子を勧めた。
「前に空瑠くんが関わったゲーム会社の取引を覚えているかね?」
『えぇ。確か取引の内容は有能なプログラマーのリスト』
「その中にどうやら名前があったのがその板倉さんらしい」
羅瑠の言葉に納得できた空瑠は
『接触は?』
表情を引き締め羅瑠に問うた。
「いや、盗聴器だけ仕掛けさせてもらったが・・どうも嫌な予感がするんだ」
『嫌な予感?』
羅瑠の言葉に空瑠は眉を顰めた。
「・・彼・・板倉さんがもう生きていないのではと思ってね」
『!まさか』
そこまで聞いて空瑠は一つの答えが頭に浮かんだ。
「あぁ・・ここ数日聞こえていたはずの人の声や息遣いが全くと言っていいほど聞こえない。加えると、誰かがなにか作業をしていた音が聞こえていたがそれも聞こえなくなった」
そこまで言われればそれはもう確信でしかない。
「っと・・どうやらそれはあたりのようだ」
彼は耳にしていた盗聴器の音を聞くように片手で抑えその情報を空瑠に教えた。
『遺体発見ですか・・・』
「時期に警察も来る。どうするかね?」
今出ていくかまだこの場にとどまるかということ。
空瑠も反対側の椅子に座り同じように盗聴器の音を聞くべくイヤフォンを耳に入れれば眉を顰めた。
と言うのも聞こえてきた声は
『新一・・・?』
そう、コナンの声や毛利の声が聞こえてきた。
そのまま盗聴を続けていれば警察が到着し現場検証などが始まった。
「新一・・・確か君の幼馴染の名前だったかな?」
『はい・・』
「こんな少年の声がするがそれが幼馴染君かい?だが、呼ばれている名はコナンのようだがね」
顎に手を置き考える羅瑠に空瑠は舌打ちをしたくなった。
今のは完全に空瑠のミスだからである。
「wingsの敵ではないのだろう?」
『だからって勧誘とかはしないでください。彼はあくまでも一般人です』
「名探偵として名の知れた工藤新一君を一般人というのは聊か無理があるように思えるがね」
『っ・・・』
「そう怖い顔をしないでくれ。何らかの理由があるのだろう」
『彼も狙われている一人です』
「なるほど・・」
何となく理由を察した羅瑠はそれ以上の詮索はしない。
互いに盗聴しながら向かい合いコーヒーを飲む。
「ふむ。禁じ手か」
『禁じ手でありながらそこに石を置くのはそれは勝負の最中ではなく別に意味があるから』
「それが点字かね?」
『板倉さんの目が悪いなら、そしてそれを犯人には気づかれないものであるなら』
「なるほど・・まさにそのようだな。それにしても言葉巧みに彼は警察を誘導するな」
『それが彼のやり方ですから』
空瑠は感心したような声を出す羅瑠にフッと笑みを零しカップに口をつける。
「まさにスピード解決だな」
『そのようで。まぁ、あいつは何かを手に入れたみたいですからそれをこれから解析するでしょう』
博士の家でと心の中で呟いて。