翡翠とアメジスト2

□満月の夜の二元ミステリー
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ポストに入っていた封筒は二つ。内一つには工藤新一様という文字。

『この封筒はきっと後で取りに来るな』

白夜空瑠様と書かれた封筒だけ郵便受けから取り出し空瑠は部屋に戻った。

『書かれてる内容は船上パーティーの招待状。つまり、ベルモットは私を引き離したい訳か』

そしてコナンにメールを送り暫く家を空ける旨を伝え空瑠は赤井の家に向かうべく準備に取り掛かる。

勿論、先ほど来た有紀子がこれから来るというメールにも同等の内容を送り家を出た。

『ベルモットから招待状が来たってことは帰ってないかな?』

赤井の家についてここ最近帰った様子の見られない部屋を一瞥し溜息を吐いた。

そしてwingsのメンバーにメールを送り空瑠の父、瑠維が残した家に招集をかけた。








「やはりベルモットから来たか」

「どうするんだ?」

『おそらくこれは遠ざけたいだけで別でベルモットとFBIが接触するでしょう』

集められたwingsのメンバーと話しながら空瑠は絶えずパソコンのキーボードを打ち付けている。

「で、先ほどから何をやっているんだい?」

『FBIのパソコンにハッキングして少々情報を頂こうかと』

サラッと言った言葉に仲間たちは苦笑した。

「そういうところは刹那さんにそっくりだな」

「そうですね」

容姿こそあまり似ていないが考え方や行動、仕草は両親にそっくりで集まったメンバーはそんな空瑠を見守るようにしていた。

‛プルルル‛

鳴り響く電話は空瑠のもので番号を確認した空瑠は人差し指を唇に当て静かにとジェスチャーし全員が頷くのを確認してから電話に出た。

『もしもし』

「今、どこにいる?」

電話の主は赤井である。

『秀一さんの家にいますが』

「空瑠の家に手紙は届いたか?」

『組織の幹部、ベルモットさんから頂きましたよ』

「・・・やはり空瑠にも来ていたか」

『内容は船上パーティーへの招待でした』

「空瑠・・」

『行けばいいんですよね?』

「あぁ・・すまない」

名前を呼んだだけで赤井の言いたいことを理解した空瑠は溜息交じりに言うが、赤井もまた空瑠の言いたいことが分かり謝るしかない。

『わざわざベルモットが私を遠ざけるということは危険からということなのか、それとも着港するところにジンが待っているのかどちらかでしょうね』

「それは俺も危惧しているが・・俺としてはベルモットに空瑠を知られることのほうが危険だからな」

『だからこそ、私はパーティーに行きますよ』

「すまないがそうしてくれ。終わったら俺の家にいてくれるか?」

『わかりました』

切られた電話とハッキングより得られた情報を開示してメンバーに見せた空瑠は口を開く。

『と、言うことなので私はベルモットの方に行かせていただきますよ』

「言うと思いましたよ」

「なら、俺がパーティーに行くか」

「私は君とともに行くとしよう。黒髪金目の男性と共にね」

理解のある仲間だと常々空瑠は思っていた。

それはきっと、父も同じようなことをしていたんだろうと思うことにして。
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