翡翠とアメジスト2
□揺れる警視庁1200万人の人質
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前回の爆弾事件があってから休日前の金曜日から空瑠は赤井のマンションに泊まるのが通例となっていた。
「出かけるのか?」
ノートを数冊カバンに詰めると空瑠が玄関に向かうのを見て赤井が声をかけた。
『明日全国模試ですから、泣き付かれた友人が勉強したいということなのでちょっと行ってこようかと』
「そうか。送るか?」
『いえ、バイクで行きますから大丈夫ですよ』
笑顔で断る空瑠に赤井は溜息をつき傍に寄った。
「体調も戻ってきたとは言え油断するなよ?何かあれば電話しろ」
『そうします』
赤井の優しさに空瑠は笑みを浮かべ玄関を出ていった。
『ん?新一?それに子供たちか?』
蘭と園子との勉強を終えた空瑠はバイクを取りに行くために歩道を歩いていれば一件の店の前にいる見慣れた後ろ姿に首を傾げながら歩みを進めた。
『コナン!』
声をかければ振り返る子供たち。
「空瑠さん。こんなところでどうしたの?」
『それはこっちのセリフだ』
コナンの問いに空瑠は肩を竦めた。
「佐藤刑事がケーキ食べ放題に連れて行ってくれるの!」
歩美が嬉しそうに話しかけてきたため空瑠は頭を撫でて相槌をした。
『私は蘭と園子と勉強だよ。明日全国模試だからね』
「そーいや、蘭がそんなこと言ってたな。空瑠に勉強教えてもらうとか何とか」
『別に教えることもなかったけどね。それより、この野次馬は何?』
辺りを見渡しながら空瑠が尋ねれば爆弾が仕掛けられたという通報があったらしい。
『ふーん・・』
店を見上げて空瑠は答えるがコナンがいれば問題ないだろうと考え
『んじゃ、私はこれで』
立ち去ろうとする空瑠と同じように白鳥も車に乗り込んだ。
‘カチッ’
『?』
何かが外れるような音が一瞬空瑠の耳に届き辺りを見渡した時にその出処が分かると
『降りるな!』
白鳥が手に何かを持って車から降りようとした時空瑠がそう叫ぶも白鳥は扉を開けてしまい
‘ドガァン’
近くにいた空瑠は爆風を受けるもそれを気にせず直様白鳥に駆け寄り
『左側頭部からの出血・・ヤバイな・・』
状態を見ながら空瑠は苦虫を潰したような顔をして救急車を呼んだ。
「こ・・これを・・」
動かしにくくなっている左手を上げ持っていた紙を空瑠に渡した。
「佐藤さんに・・渡して・・・ください・・・あなたの・・闇を吹っ切る・・チャンスですから・・と」
『分かりました』
駆け寄ってくる佐藤や高木、コナンたちに空瑠は事情を説明した。
『白鳥警部からです。あなたの闇を吹っ切るチャンスだからと』
持っていた紙を佐藤に渡せばその場で読み始めた佐藤に皆が視線を向けた。
‘クシャリ’
持っていた紙が音を立てて歪んだ。
『後は・・任せてもいいか?』
コナンにだけ聞こえる声で言えば
「ちゃんと手当しろよ。あと電話すっかもしれねぇが」
『帰ったらちゃんとするよ。電話は構わない。私の方でも考えておくよ。その暗号』
その場を立ち去り空瑠は頭の中で先ほどの暗号を思い浮かべた。