翡翠とアメジスト2

□対決の後
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シボレーの中で会話はなく重苦しい空気が纏う。

赤井のマンションに着き

‘バンッ’

乱暴開けられた寝室のドアそして乱暴にベッドに投げられた空瑠。

空瑠が体を起こす時間も与えず赤井は空瑠に覆い被さる様にして馬乗りになった。

「何故あそこにいた?何故また男装している?何故パーティーに行かなかった。吐け!お前の考えていること全てを!!」

切羽詰ったような赤井の言葉に空瑠は目を細めて見つめた。

マンションに着くなり短髪のウィッグは取られ本来の長さの髪がベッドに散らばるがその瞳は未だ金眼。

「何故いうことを聞かなかった!行かないならばせめて俺に知らせろ!」

『・・・』

「空瑠!俺はもうお前を失いたくないんだ!」

その言葉に空瑠は大きく溜息を吐いた。

『知らせなかったことは謝ります。ですが・・私はwingsとして動かなければならない時もあります。それが今回だったんです』

「ならばせめて・・俺には伝えろ。空瑠がコンテナから飛び降りてきたときは本当に驚いたんだからな」

馬乗りになっていた赤井は身を起こした。

『それについてはすみません。ですが・・あの時私は喋っていませんし全員同じ顔で同じ体格にしたはずなんですが・・よくわかりましたね』

「見間違うはずがないだろう。大事な恋人を」

抱きしめる赤井に空瑠はもう一度謝った。

そして金眼のカラコンを外し本来のアメジストを赤井に向ける。

「出来ることならば俺の腕に閉じ込めておきたいものだが」

そう言って伸ばされた腕に収まる空瑠だが言われるがまま収まるわけがない。

『前にも言いましたよね。何も出来ないと言うのは役に立て無いと』

真剣な声と表情に赤井は溜息を吐くがその腕は更に強まるばかり。








互いに硝煙の匂いを落とすべく風呂に入ると空瑠はベッドに座る赤井の足の間に座らされ後ろから抱き締められていた。

『秀一さん?』

何も言わずただ抱き締めている赤井に空瑠が声を掛ければ

「はぁ・・・」

何故か溜息を吐かれる。

「世間帯が良くないのも、成人した者が未成年者に手を出すことが犯罪だということもわかっているんだがな・・・」

それでもギュッと抱き締めてくる赤井に空瑠は苦笑した。

『男性ってやっぱりそうなんですね』

「経験があるような言い方だな」

首筋に埋めていた顔を上げて赤井が問うがそのトーンが若干下がったのは気のせいではないだろう。

空瑠は溜息を吐き

『この世界ではありませんよ』

「前の世界に恋人はいないんじゃなかったのか?」

『・・話してもいいですが、多分・・軽蔑しますよ?』

そっと赤井の腕を抱きしめる空瑠の声が沈んだ。

『前の世界・・特に暗殺者だった時に・・経験があるんです』

「まさか・・ハニートラップか!?」

『流石に・・ご存知ですか・・』

「だが、暗殺者だったのは13歳までではなかったか?」

『まぁ、言ってしまえば私はその中でも発達が早かったみたいで・・・ターゲットとなる男性は皆未成熟者を好む傾向にありましたから。私なんかはよく、使われました。殺す時も情報を入手するときも・・』

話しながら空瑠の声はどんどん小さくなっていった。
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