翡翠とアメジスト2
□甲子園の奇跡!見えない悪魔に負けず嫌い
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夏休みの同じ日に行われる宝塚と甲子園を巡って服部と和葉が推理勝負を行った。
服部は和葉に勝ちを譲るつもりが結局自分で事件を解決してしまい甲子園の決勝戦を観に行くことになった。
『え?私も行くの?』
あの時はたまたま現場に居合わせたに過ぎない空瑠だが、服部と和葉は空瑠も誘っていたため予定のなかった空瑠は同行することとなった。
そして当日、兵庫県にある甲子園球場に足を運んだ空瑠たち。
決勝の対戦校は港南高校と大金高校だった。
試合が始まりスタンドは大いに賑わっていた。
「空瑠は野球に興味あるんか?」
隣に座った服部はグランドを見つめる空瑠に尋ねた。
『まぁ、野球にというよりは何かに必死になる姿にですかね』
それはスポーツに限らず仕事でも然り・・思い浮かぶのは恋人の姿にらしくないとフッと空瑠は自嘲気味に笑った。
「さよか。ほんなら工藤よりは分かっとるんやろな」
ニヤリと笑った服部にコナンはそっぽを向いた。
『新一はサッカーに特化しているせいでしょう』
苦笑してフォローを入れる空瑠に服部はコナンを茶化す。
試合が進み1回を両校無得点で終え2回の裏になるが・・
毛利が見るのは試合ではなく・・
アルプススタンドのチアガール。
注意と共に非難の眼差しを受ける毛利だが招待してくれるならもっといい席がいいと文句が飛ぶ。
そしてそれを謝るのは
「えらいすんまへんな」
やって来た大滝だった。
「こっちに住んどる知り合いに並んで貰うはずやったんですが・・寝坊したようで・・」
苦笑しながら大滝は謝り
『仕方ないですよ毛利さん。この両校の対決は有名ですから内野席は朝早くから並ばないと難しいですよ』
空瑠の冷静な分析に内心では前売りを買っておけばと思う毛利だった。
「かち割りみんなの分ちゃんと買うてきたで」
そう言って笑顔で渡してく大滝だが
「あれ?空瑠さんも来れたんですか?」
服部の隣に座り大滝は驚いたような声を出した。
「大滝はん空瑠のこと知っとるんか?」
首を傾げる服部に大滝は空瑠との出会いを話しだした。
「平ちゃんが剣道の試合で居らん時に起きたけったいな事件があったんやけど、たまたま大阪に別の依頼で来とった空瑠さんが現場に居合わせてな。本部長が是非協力して欲しいって頼んだんや」
「!親父がか!?」
服部は自分の父親がまさか他人に協力を申し込むとは思わず驚きの声を上げる。
「そうや。それからはまさにスピード解決やった。それがワシと空瑠さんの出会いや」
『気にしなくていいとおっしゃったんですが・・』
苦笑する空瑠に大滝はそういうわけにもいかないと首を振った。
「ほんで空瑠は大阪でも有名になったんか?」
『と、いうよりも平蔵さんに気に入られてしまって・・』
肩を竦める空瑠に服部は半目になった。
「事件解決してから一緒に大阪府警に事情聴取で行ったんやけどその後本部長、空瑠さんといきなり剣道の試合始めたときはビックリしたで」
「はぁ!?親父、いきなり空瑠と試合したんか!?」
『正直、剣道はやったことなかったので断るつもりだったんですが・・何度か打ち合いして動きが分かってきたので最後の方は半ば本気で平蔵さんもやっていたそうです』
「・・ちょお待てや。空瑠、親父最後の方は本気やったんか?」
『本人がそう言ってましたが・・』
「ありえへん・・」
平蔵の強さを身を持って知っている服部は冷や汗を流したのだった。
「ほんで、平ちゃん居らん時に起きた事件でワシらで埒が明かん事件は依頼するようになったんや」
大滝の言葉に服部は納得したように頷いたのだった。