翡翠とアメジスト2

□黒い写真の行方
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ジリジリと照りつける日差しに空瑠は眉を寄せながら

『暑っ・・』

一言呟き捲る事の出来ない袖を一瞥し溜息を吐くと工藤邸へと急いだ。

帰宅後はシャワーを浴びてメイクを施し刹那へと変わる。

『さてと、行きますか』

普段刹那の格好はスーツを着用しているが・・

『流石に上着は着てらんないな』

日差しに目を細め独りごちてからバイクに跨り杯戸中央病院へ。

空瑠が病院でやることは主に病院内に怪しい人物、及び監視カメラや盗聴器の類の確認。

「いつもすまないね。刹那くん」

『ジェームズさん』

病院内でジェームズと合流し今日の報告を行う。

『それじゃぁ、水無怜奈はまだ意識が戻らないんですね』

「あぁ・・こればっかりは彼女次第だからね」

未だ目を覚まさない水無について空瑠は様子を見ていないため何とも言えず・・

「赤井君なら、さっき屋上に向かっていったよ」

ふとその言葉をジェームズに言われ

「空瑠くんも少し気を抜くといい。そのままでは倒れてしまうよ?」

わざと本名で呼んだのはおそらく忠告を意味するもの。

ジェームズの言葉に空瑠は肩を竦め

『少し、外の空気吸ってきます』

それだけ伝え屋上に向かった。

‘ガチャッ’

「!空瑠」

屋上の扉が開き煙草を吸っていた赤井は一瞬身構えるもそれが誰かわかれば警戒を解く。

『お疲れ様です。秀一さん』

「あぁ」

コナンがいない時は本名で呼ぶ赤井に空瑠もそれを訂正する気はない。

日陰に二人並んで立ちながら特に何かを話すでもなく空を見上げる。

「大丈夫か?」

気遣うようなその言葉に空瑠は視線だけ向ければ伸びてきた赤井の手によって顔ごと赤井の方に向けられた。

「やはり・・隈が出来てるな」

そっと目の下の隈を撫でられ赤井は眉を寄せた。

「無理、してないか?」

『それ、秀一さんに言われたくないです』

顔だけ向けられていたのを体ごと赤井に向き直った空瑠は同じように手を伸ばし目の下の隈に触れた。

「俺はまだ休む暇はある。だが、空瑠は昼間は学校へ行き、依頼があれば探偵としても動くだろう?加えてこちらの警戒まで・・・俺としては空瑠が倒れるんじゃないかと不安になるぞ」

『確かに学業、探偵業、監視はオーバーワークかもしれませんが・・大丈夫ですよ?』

前の世界ではこれに加えて睡眠時間もほとんど無いに等しかったのでそれに加えればまだまだ余裕である。

しかし赤井としては前の世界でのことを知っていてもあまり良い顔はしない。

「こちらの世界ではまだ未成年なんだからな。そこを自覚してくれ」

抱きしめながら言われるその言葉に空瑠は頷くしかないが・・・

『それって、自覚云々の問題なんですか?』

「・・・」

疑問を口にすれば言葉は返されず

『んっ・・』

強制的に口を閉ざす羽目になった。

‘プルルル’

『「!」』

着信音に驚き塞がれていた口は離れ

『もしもし?』

鳴ったのは空瑠の携帯だった。

「空瑠、依頼あるか?」

掛けてきたのはコナンでありいきなり何を聞くかと思えば・・

『終わったけど?』

「なら、丁度いい、博士の家に来てくれるか?」

『は・・?』

話が見えない空瑠とその反応を見ていた赤井は瞬きを繰り返した。

コナンの話によれば本堂英佑、水無怜奈の事を大阪で探ってもらったらしく服部から連絡が来て本堂の父親が分かるかも知れないというもの。
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