蒼と翡翠の想い
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空瑠の両親は“なにか”をずっと追っていた。それは組織に属さずたった二人きりで追っていた。
そして・・7歳の時、両親の追っていた“なにか”がバレてしまい
『お父さん!お母さん!』
空瑠は男に両手両足を縛られ
「ちゃんと見とけ。お前の両親の最後をな」
そう言って目を瞑ることも、首を動かすことも許されず空瑠は両親が殺されるその光景をただただ見つめることしかできなかった。
『いやぁぁぁ』
両親が殺された瞬間空瑠は悲鳴を上げるとそのまま意識を失った。
「このガキはどうする?」
「所詮はガキだ。俺たちの姿さえ見てはいない。放っておいてもこいつは廃人の道を辿るだろう」
「相変わらずえげつねぇな。そうやって幾人の廃人を作ってんだ?」
「薬なんかよりよっぽど面白いデータが取れるからな」
男共は空瑠を放置して家を出た。
次に空瑠が目を覚ました時、辺りは暗くなり
『うっ・・・』
噎せ返るような血の匂いに空瑠は顔を顰め未だ手足は縛られたまま体を使って床に落ちている携帯電話を手に取り警察に電話した。
その後来た捜査官は空瑠を保護するが犯人たちの顔を思い浮かべようとすると錯乱状態になる空瑠に参ってしまいそのまま病院に収容された。
所謂PTSDになってしまった空瑠は重度の不眠症と神経回路が狂ってしまったのか痛みに対する感覚が鈍くなる後遺症を患った。
それからも眠ることができず精神が休まらないこともあって空瑠は更に人間恐怖症、対人恐怖症にまで陥ってしまった。
病院側も遺族がいないことにどうするかと頭を悩ませていた時だった。
病院に掛かって来た一本の電話。
それは入院している空瑠を引き取りたいと言う要求の電話だった。
病院側もホッとしたがそれが誰でどういう人物なのか分からなければ渡せるはずもなくその事を伝えれば夫婦で病院を訪れると言われ電話は切られた。
医者は空瑠にその事を告げるべく病室へ向かうが
『私を引き取る・・?』
医者から言われた言葉に空瑠は驚きと恐怖の表情を浮かべ医者も申し訳ない顔をするしかなかった。
「悪い人ではないが・・そう簡単に信用はできないか」
医者の事も未だ怖がる空瑠に信用や信頼されることは難しいだろうと医者もこの時は思っていた。