蒼と翡翠の想い
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空瑠が向かったのはアメリカでも両親(工藤夫妻)が居るロスではなくニューヨーク。
怪我の事を話せば有希子の知人で有名な技師が居るという事でその人を訪ねに向かった。
『ここかな?』
言われた住所の紙を持ちながら空瑠は建物の前に立てばそこは病院というより個人院のような佇まい。
‘ピンポーン’
インターホンを鳴らせば英語で返事が来たためどうやらいる様子。
ドアを開けながら首を傾げるのは白衣を着た女性
{「どちら様?」}
{『すみません。昨日電話した白夜と言う者ですが』}
{「あぁ、有希子から聞いてるわ!女刑事さん!」}
納得したように手を叩く彼女こそ有名な技師であるマリである。
{「私のことはマリでいいわよ!早速入って。確か左腕よね?」}
ドアを開けながらマリが聞いてくるので空瑠は病院で言われたことを話しながら実際に左腕を見せた。
{「動かしづらさと麻痺ね・・どの程度かわからないと治療のしようがないからまずはそれを調べましょう。いろいろ検査していくわよ」}
かなりハキハキと喋るマリに空瑠も頷き色々と検査をしていった。
定番どころの握力や筋力、俊敏性や巧緻性など調べていき麻痺の程度なども調べていくがマリはここであることに気がつきた。
{「空瑠って、痛みを感じないの?」}
これだけ動かせば普通は痛がるはずが空瑠は時々眉を寄せるもののそれだけで顔を歪めることも息を詰めるようなこともしない。
{『心の問題を抱えてまして・・痛みに鈍感なんです』}
{「もしかしてこの傷負った時もそうだった?」}
{『えぇ。部下に言われるまで忘れてたくらいですから』}
苦笑する空瑠にマリは眉を寄せて険しい顔をした。
{「それはとても危険よ。自分で感じなくても体は怪我をしていることがあるし、痛みは体のサインだもの。それを感じないのは危ないわ」}
{『って言われましても・・・』}
空瑠は頬を掻いて視線を逸らした。
どうすることも出来ず20年以上自分の体と付き合ってきたのだ。
痛みを感じた時には手遅れとまではいかないが今のような状況になることは多々あった。