蒼と翡翠の想い
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『とりあえずこれで完了かな』
表示されているタイマーは全て止まり配線も切断された元爆弾となったただの塊。
空瑠はそれに視線を向けたが次に背後の扉に感じた気配に流石に気がつかれたかと思い武器となるのは今自分が持っているガラス片のみ。
それに視線を移してから空瑠は両手に持つとドアに対峙するように身構えた。しかし、入ってきたのは・・
{「大丈夫か?」}
翡翠の瞳に長身の男性。
『え、えぇ・・』
空瑠が日本語で返すと日本人かと呟きながら空瑠を見つめ
「爆弾は?」
空瑠は質問に視線だけを向ければ男性は部屋に入ってくるとそれを見つめた。
「解体したのか?」
『一応、そういった事は知識がありましたので』
止まっているタイマーに男性は空瑠に視線を向けたが
「待て、手から血が出てるじゃないか」
後ろ手に隠していた手から滴る血と爆弾の近くにも落ちている血痕に男性は空瑠の手を掴むと目の前に出させた。
「こんな物で配線を切っていたのか・・これじゃ君の手だって切れてしまう」
未だ握られていたガラス片を落とすと両手を念入りに調べられた。
そして持っていたハンカチを破くと一番出血が酷い右手の人差し指と親指に巻かれ残った物で掌を巻かれた。
『そんな・・ハンカチを』
「これくらい構わない。君のそれは早めに止めたほうがいい」
割かれたハンカチに空瑠が動揺すれば男性はそんなことは気にせず
「外まで来てくれるか」
『あ、はい』
そのまま肩を抱くようにして歩き出した男性に空瑠は申し訳ない気持ちがあり
『あの、他の人質は・・』
「俺の仲間が既に救出しているはずだ」
『そうですか』
助けられたことに空瑠はホッと息を吐いていれば
「シュウ!良かった。爆弾が隣の部屋にあるって・・あら?もしかして残りの人質?」
「あぁ、彼女が爆弾も解体してくれていた」
「!そう。無茶をするわね」
前からやってきた女性は男性の同僚のようで簡単な報告をし合うと空瑠に視線を向け一瞬驚いた表情をするが肩を竦めた。
そのまま外まで連れて行かれれば野次馬や、人質にされていた人の家族や恋人、友人などが抱き合っていた。
空瑠は一瞬その光景に目を向け
「治療を受けたあとで事情聴取があるんだが構わないだろうか?」
未だ肩を抱かれたままだったことに気がついた空瑠は上から聞こえた声に視線を上げた。
『あ、大丈夫です。ただ、友人がもしかしたら・・{「空瑠!」}やっぱり』
その野次馬を押し退けやって来たマリに空瑠は苦笑した。
{「大丈夫!?買い物行ったりき帰ってこないからもしかしたらって思ってたんだけど・・」}
男性はスっと肩から腕を外すと空瑠はマリに近づきマリも駆け寄った。
{『ごめん、無事だけどもしかしたら指折れたかも』}
{「!?何があったのよ」}
{『感覚障害のフリして縛られないように誘導したら案の定、指思いっきり踏まれた』}
{「バカ。全く・・この後はどうせ事情聴取でしょ?」}
{『仰る通り』}
{「仕方ない。今日は授業なしね」}
{『それは酷い』}
マリの言葉に空瑠は軽く肩を竦めるが本気ではない互いに軽口の応酬をしていれば
{「失礼。警察のものだが、彼女の友人か何かで?」}