番外編

□夏祭り
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蝉の声が鳴り響く夏真っ盛りの放課後

『え?祭り?』

教科書を鞄にしまいながら空瑠は隣に視線を向けた。

「そう。米花神社で行われるんだけど空瑠もどうかなって」

「アンタ美人なんだから男釣らなきゃダメでしょ!」

『・・・そう言われてもな』

園子の言葉に空瑠は頬を掻いた。

この時既に空瑠は赤井と付き合っているため特に男性を釣る必要性を感じていなかった。

「美人三人で男を釣るわよ!!」

「もう・・園子ったら・・」

『そう言えば、園子も京極さんがいるんじゃ・・?』

「最近真さん連絡くれないんだもん」

『あぁ・・・ストイックだもんな・・京極さん』

そのへんは赤井も変わらないなと空瑠は思い出しフッと笑みを零した。

「じゃぁ、どうしよっか?」

「入口のところに5時でいいんじゃない?」

『私はそれで構わないよ』

「じゃぁその時間に。空瑠!遅れるんじゃないわよ!」

『はいはい』

帰り道、空瑠だけ途中で分かれるため空瑠は園子の言葉を後ろ手に手を振りながら返事を返した。

『浴衣・・あったけな・・』

工藤邸に着いた空瑠はそのまま部屋に向かいクローゼットを開けた。

『確か有希子さんが・・あった』

クローゼットにしまっていた浴衣を取り出し小物なども探し出して机に並べた。

『巾着と下駄と簪か・・』

巾着に小銭入れとタオル絆創膏などを入れ空瑠は浴衣の中に着るキャミソールとホットパンツを持って風呂場に向かった。

『流石に汗かいた・・』

外の暑さに空瑠も汗をかきシャワーを浴びて体を清めた。

部屋に戻り有希子からもらった浴衣に袖を通し着付けをした。

有希子からもらった浴衣は黒地に薄ピンク色とピンク色の大輪の花が咲き誇り薄紫色と薄水色の蝶が何羽も飛び交いラメが鱗粉のようについている。

大人っぽい空瑠だから似合うと有希子は絶賛していた。

『簪・・どうしよう・・』

全体が銀色で振動でシャラシャラと音がする飾りのついた簪は空瑠の黒髪だから似合うと優作が買った物・・

『使わないのは悪いか・・』

苦笑しながら手馴れてように空瑠は髪をまとめ簪を刺してサイドを軽くウェーブを掛ければ出来上がり。

『少し早いけど行くか』

時計を見れば遅れることはないが歩いて行っても少し早めに着いてしまいそうな時間だったが遅れるよりはいいかと軽い気持ちで空瑠は工藤邸を出た。
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