番外編

□誕生日
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FBI日本支部、今日もここで組織の尻尾を掴むべく資料に目を落とす赤井の姿があった。

「奴らの手がかりはなしか」

何時ものように資料片手に珈琲を飲み煙草を吸うべく椅子を立ち上がった。

「(奴らの動きは明確化しているがまだ、掴めないな)」

考えることはそればかりで今日という日にちを忘れていた。

一服を終えた赤井がデスクに戻れば

「HI!シュウ。あなた今日空瑠と会うわよね?」

疑問形で聞きながらも断定の言い方をするジョディに赤井は資料から視線を上げ

「特にその予定はないが?」

言い放った。

「!?嘘でしょ!?」

驚きを隠せないジョディとそんな言い方をするジョディに赤井は首を傾げた。

「ジョディその手に持っている物は何だ?」

紙袋を持っていたジョディに赤井が尋ねれば

「赤井君、今日空瑠くんと会うかね?」

同じくボスであるジェームズが赤井の元へやって来た。勿論その手にはジョディ同様に紙袋が提げられラッピングされた箱とその隣にアニマルショーの時のホワイトライオンのレオンのぬいぐるみが入っているのが確認できた。

「ジョディと言いボスと言いどうしたんですか?」

全く分からないと言う顔をする赤井にジョディとジェームズは顔を見合わせ

「そうか。いや、すまない何でもないよ」

「仕事の邪魔しちゃったわね。ごめんなさい」

そう言って赤井の元を去る二人に赤井はますます分からないと首を傾げた。

「空瑠の誕生日知らないのかしら?」

「赤井君の場合忘れている可能性があるからね」

それぞれ腕に下げた空瑠へのプレゼントの入った紙袋に視線を落としながら自然と溜息が出たのだった。








帝丹高校では

「空瑠!誕生日おめでとう!」

「おめでとう!空瑠」

『ありがと』

教室に着くなり蘭と園子から渡されたプレゼントと言葉に空瑠は笑みを浮かべ礼を述べた。

『(誕生日を祝ってもらうのなんかこっちの世界に来てからだもんな。なんだか擽ったいな)』

そんなことを思いながら渡されたプレゼントを開けていく空瑠とそれを見守る蘭と園子だった。

蘭からはシンプルだがワンポイントの付いたマグカップ。園子からは空瑠好みのバックだった。

『ありがと二人共。大切に使うよ』

笑みを浮かべた空瑠に蘭と園子も笑みを浮かべて頷いた。

「ねぇ、今日の帰りせっかくだから空瑠の事お祝いしようよ!」

「そうだね!ポアロでいいかな?」

『わざわざ良いのに・・』

苦笑を浮かべる空瑠に

「何言ってんのよ!こんな時くらい奢られなさいよ!」

園子に言われたため空瑠は頷き蘭も園子の提案に頷いた。

「そうだね。空瑠の分は私と園子で出そうか」

『ありがとう。二人の時は私が奢らせてもらうよ』

「空瑠からだったらアタシはお菓子の方がいいかな」

「私も」

二人のリクエストに空瑠は勿論了承した。

始業のチャイムが鳴りそれぞれ席に戻った蘭と園子を見送りポケットに入れていた携帯を取り出すが特にメールは受信されていなかった。

その後も休み時間や昼休みなどで携帯を見るがメールは受信されておらずなんとなく落胆の溜息を吐いた。

『(前の世界の私だったら考えられないな・・誰かのメールを待つことも、それが誕生日だからという理由であることも)初めて、恋人からなら待つのは許されるかな・・?』

フッと笑みを浮かべ携帯を閉じ次の授業の準備をした。
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