番外編

□ポッキーの日
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11月11日、いつの頃からかこの日はポッキーの日と言われるようになった。


それは帝丹高校でも同じで

『ポッキーゲーム?今年は誰とやらせるつもりなのさ。園子?』

空瑠は呆れながら発案者である園子を見た。

そして園子の手には勿論、ポッキーの箱が握られている。

「今年は世良ちゃんよ」

園子の言う“今年は”と言うのは何だかんだ空瑠は毎年誰かしらとポッキーゲームをやらされていた。

因みに、去年相手をしたのは蘭。

『そもそも、ポッキーの日ってどう考えてもお菓子業界の企みでしょ』

バレンタインなどでも言える事だが・・。

実は空瑠は前の世界でもこの日だけは部下たちがポッキーを持っていて空瑠は無理やり参加させられていた。

「いいから、早くやって!」

『ところで真純は?』

空瑠が首を傾げて言えば園子は指を指しそちらを見れば何故か蘭の机に乗ってニコニコと笑っている真純が居た。

「ほら」

そう言って園子は空瑠の口にポッキーを咥えさせ空瑠はポッキーを咥えたまま頬杖をついて真純の方を見れば待ってましたと言わんばかりに真純は机から降りると空瑠の机の前にやって来た。

「じゃ、始めるよ?」

真純が首を傾げながら聞いて来るので空瑠はポッキーを咥えたまま頷けば

‘カリッ’

反対側から真純が食べ始め空瑠も頬杖をついたまま食べ始めるがふと横目で園子と蘭の方を見れば蘭は顔を真っ赤にさせ、園子は何を期待しているのか待望の眼差しで空瑠と真純のポッキーゲームを見ていた。

『(なるほど・・何を期待してるのやら)』

空瑠は視線を真純に戻せば真純がウインクし何かを仕掛けるつもりらしいことが分かるが如何せんポッキー自体の長さがそんなに長いわけではないため既に空瑠と真純の顔の距離は6.7cmほど。

‘ポキンッ’

空瑠と真純の唇が降れそうになった所で空瑠は折れたように見せかけてポッキーを折った。

「あー!絶対空瑠と世良ちゃんのキスが見れると思ったのにー!」

園子の本音が聞こえ

『なるほど、今年はそれを狙ってたわけか』

空瑠は呆れたような視線を園子に向けたが

「残念だけど、それは無理かな。空瑠の唇は僕にはハードルが高いから」

ウインクした真純だが

「でも、頬なら許されるかな」

そう言いながら真純は空瑠の頬に手を添えながら反対の頬にキスをした。

実際にその場面を見た園子は顔を赤くするが

『唇にしなかったのは秀一のため?』

空瑠は別段気にもせず真純に話しかけ

「だって、秀兄すっごい嫉妬深いだもん。僕、秀兄があんなに嫉妬深いなんて知らなかったよ」

ケラケラ笑う真純に空瑠は確かにと納得したように頷くが

「そうよね。空瑠も世良ちゃんもアメリカ国籍だからこのくらいはお手の物よね」

園子は何故か項垂れ蘭は赤くなった顔を冷まそうと必死に手で扇いでいた。

『で?お気に召したのかな?園子は』

空瑠は肩を竦めながら園子の方を見て尋ねれば

「ゴチソウサマ。空瑠と世良ちゃんに頼むんじゃなかった」

園子は片手で顔を覆いながら手をひらひらと振るが空瑠なクスリと笑うと机に置いてあった箱からポッキーを一本抜き取ると

「ん!?」

園子の口に咥えさせ

『お望みなら、園子の唇にキスするけど?』

空瑠は細めた瞳で園子の瞳を見つめ

‘カリッ’

反対側から空瑠がポッキーを始めた。

「んんん!?」

園子は驚くがポッキーを咥えている為喋ることが出来ず

‘パキンッ’
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