番外編
□良い夫婦の日
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『うーん』
空瑠は授業が始まる前机の上である雑誌を見ながら珍しく悩んでいた。
「空瑠おはよう。珍しいね。空瑠が何かに悩むなんて」
「うーん?これって有名な食器のカタログじゃない」
園子は空瑠が見ている雑誌を見て驚いた声を出した。
『うん。まぁね』
空瑠はパラパラと捲りながら肯定の返事をした。
「でも、空瑠の家・・あ、新一くん家って言った方がいいか?には食器はいろいろあるよな?」
真純も首を傾げながら首を傾げた。
「まさか!空瑠食器を割っちゃったの!?」
「嘘!?」
『違うから』
園子と蘭の言葉に空瑠は即答で否定し
『もうすぐ良い夫婦の日でしょ?』
「そう言えばそうね」
『で、この前有希子さんがロスの家でティーカップを割ったって騒ぎながら電話してきて忙しいみたいで買いに行けてないらしいからさ。まぁ、プレゼントしようかなって』
「あぁ、なるほどね」
「空瑠は毎年そうやって何かを送ってるのか?」
『残念ながら今年が初めてだよ』
空瑠はそう言ってカタログを閉じた。
「えっ?そうなの?」
蘭も意外そうに驚きの声を出した。
『去年まではお小遣いは貰ってたけど元を言えば優作さんと有希子さんから貰ったものだからね』
「そっか!今年は自分のお金があるから!」
「探偵としての依頼料ね!」
『そういう事』
納得した蘭と園子の声に空瑠は頷いた。
「でもさ、いくら依頼料があるからって結構な値段の食器だろ?」
真純はカタログをパラパラと捲くりながら値段を見ていた。
『まぁ、私一人だったら大変なんだけどさ』
「あ、昴さんと割り勘なんだ」
『割り勘と言うか・・7:3くらいの割合』
「昴さんらしいね」
空瑠は工藤夫妻に送ろうと沖矢に提案した時に割り勘と言っても絶対50:50にはしないと言われ渋々首を縦に振ったのだった。
「それより、唸ってたって事は決まってないのか?」
『候補は絞り込んだんだけどね』
空瑠は真純からカタログを受け取り付箋の貼ってある箇所を開いた。
「やっぱりウェッジウッドかコペンハーゲンよね」
「でも、このジノリってのも綺麗だよ?」
『一応有名ブランドから抽出したからさ』
流石財閥の令嬢である園子は直ぐに同感するように頷き真純も自分の気に入ったものを指差した。
『蘭は?』
「えっ?どれも綺麗だけど・・新一のお母さんとお父さんならウェッジウッドかな?」
『やっぱりそうかな』
空瑠は3人の意見を聞いて納得した。
「空瑠は1番どれを押していたんだ?」
『私もウェッジウッド。まぁ、その中で種類は多いから模様とか色合いとかでまた考えようかと思ってたけど・・』
そう言って空瑠はウェッジウッドのカップが載っているページを開いた。
「うわぁ。こんな多いんだな」
「本当。知らなかった」
真純は苦笑し蘭は純粋に驚きの表情をした。
『後は・・昴と家に帰ってから相談するよ』
そう言って空瑠はカタログを閉じれば丁度チャイムが鳴った。