番外編
□クリスマス
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『天皇誕生日も関係なし・・か』
「まぁ、そう言うなよ」
空瑠は目暮警部から知恵を貸してくれと頼まれ現場に来て無事に事件を解決した。
しかし祝日関係なく連れ出されたことに空瑠は溜息交じりに呟けばそれを聞いていた瑠希に肩を叩かれた。
「瑠希君、本庁に戻るぞ。空瑠くん、今回も助かったよ」
『今回、事情聴取は勘弁してください』
目暮の言葉に空瑠は肩を竦め目暮もそれに笑って応じた。
「んじゃ、空瑠。メリークリスマス」
ふと時計を見れば既に日付が変わっており空瑠は瑠希の言葉に苦笑しながら返事をして現場を後にした。
『寒い』
深夜と言う事もありバイクで工藤邸に戻れば空気の冷たさに思わず声を漏らした。
『ただいま』
工藤邸に明かりが点いている事から起きている事は予想が付き空瑠は普通に玄関を開けたが
『・・?』
返事がなく沖矢が出迎えない事は度々ありその度に書斎で本に夢中になっているか部屋で仕事しているかのどちらかだと思っていたが
『あれ?リビングに気配がある』
空瑠はリビングならば声が聞こえたはずと思いながら首を傾げながらも極力音を立てない様にしながらリビングに向かった。
『寝てる訳じゃなかったんだ』
ドアから部屋の中を覗けば寝ているのかと思っていた沖矢の姿はちゃんとソファに座っており何かを考え込んでいるようではあった。
空瑠は音を立てない様に沖矢の背後に回り込み何に悩んでいるのか手元を覗き込めば
『女性用のファッション雑誌?』
「!空瑠。お帰りなさい」
空瑠の声に気が付いたのか沖矢は驚いたように後ろを振り向き挨拶した。
『ただいま。随分悩んでたみたいだね』
空瑠は沖矢の隣に腰かける際沖矢が用意したマグに触れれば冷え切っている事から時間が経過している事が分かった。
「えぇ。子供たちのプレゼントを考えていまして」
『あぁ。25日にやるパーティーの時の』
沖矢の言葉に空瑠はクスリとなりテーブルに置かれた仮面ヤイバーのカードが数枚置かれているのに気が付いた。
「後はボウヤと明美の妹だけなんだがな」
変声機を切った沖矢の口調が赤井に戻り手にしていた雑誌をテーブルに放るとマグに口を付けたが冷え切った珈琲に眉を寄せた。
『気が付かない程考えてたんだ』
空瑠は笑みを浮かべると沖矢の手からマグを奪い取ると
『私も欲しいから淹れて来るよ。それと、コナンと哀ならプレゼントは決まってるよ』
空瑠はそう言って部屋を出て行った。
そして戻って来る時には雑誌を脇に抱えマグを2つ手に持ってきた。
「?その雑誌は何だ?」
『哀が好きなフサエブランドのカタログと』
空瑠は雑誌を広げると間に挟んでいた封筒を沖矢に渡した。
沖矢も首を傾げながら封筒を受け取ると中身を取り出した。
「成程・・これはボウヤにか」
沖矢が取り出したのは今度のワールドカップの入場チケット。
指定席でありそれなりに位置の席に沖矢は苦笑しそれをしまった。
そして空瑠が開いた雑誌には既にチェックがしてあり
「このマークは何だ?」
『明日・・と言うか、今日に配達で届く代物』
「つまり、明美の妹にはそれがプレゼントか?」
『そう。逆に他の子供たちのが考え付かなかったから助かったかな』