番外編
□ホワイトデー
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空瑠は学校が休みでありベッドで眠っていたが
『んっ・・』
どうやらカーテンの隙間から零れる日差しが顔に当たりそれが眩しく目が覚めた。
『・・秀一?』
いつもなら一緒に眠っている赤井の姿が無く空瑠は首を傾げながらも起き上がり着替えを済ませてからリビングに向かうが気配が無くキッチンに向かってみたがそこにも居らずとりあえず珈琲を淹れようと夜間に湯を沸かしていれば
『あれ?』
シンクの台に乗せられたメモが目についた。
首を傾げながら折りたたまれたメモを開けば赤井の文字で書かれており
『本部に行くって起こせばよかったのに。寧ろ、気配で気が付かないのも元暗殺者としてどうかって話か』
肩を竦めながら空瑠はそのメモを畳もうとしたが
『ん?P.S.・・追伸?』
追伸と書かれた下にはリビングに向かってくれとういう文字。
空瑠は首を傾げながら珈琲を淹れてからそのマグを持ってリビングに向かえばテーブルの上にもメモが置かれていた。開いてみれば
『またキッチン?』
冷蔵庫の中に朝食を作ってあると言う物だった。
『これって、私が起きた時にリビングより先にキッチンで珈琲淹れるって知ってたって事だよね?』
マインドコントロールされている気がして空瑠は顔を顰めながらもう1度キッチンに戻り冷蔵庫から作られたフレンチトーストを取り出し温めてからリビングへ持って行った。
しかし、フレンチトーストにされていたラップにも例のメモが張り付けてあり
『今度は部屋のクローゼット?』
赤井が何をしたいのかますますわからない空瑠は朝食を済ませ片づけを終えてから部屋のクローゼットに向かった。
クローゼットの中には小さめの段ボールと中位の段ボールが置かれており小さい方は宛先が書いてなかったが中位のにはロスの住所が書いてあり
『優作さんからか』
フッと笑みを零しながら箱を開ければ
『あ、まだ発売されてない優作さんの新刊。それにこれ・・原書だけど手に入りにくいって言うあの推理小説!?』
何だかんだと空瑠も推理オタクと言われる程ミステリー小説は好きであり優作はホワイトデーにロスで売られている原書を送ってくれたらしい。
顔を綻ばせる空瑠は礼を述べてからその本を机に置こうとすれば
『ここにあったのか』
クローゼットを見た時メモが無く首を傾げたが机に置かれたメモには
『本は気に入ったか?って・・別に秀一がくれた訳無いけど・・中身知ってたんだ。で、次は・・洗面所?』
身なりを整えた時にメモは無かったはずだと記憶を辿りながら洗面所へ向かえば
『何でこれが此処に?』
赤井が沖矢になる際に必要とする変声機が置かれておりその傍にメモが置かれていた。
『顔は沖矢昴だが声は俺のままで行く。不調だったから博士の所へ持て言ってくれって・・パシリ?』
空瑠はますます訳の分からない赤井の行動にとりあえず変声機と空瑠のバッジも最近ノイズが酷い事を思い出し一緒に持っていくことにした。