翡翠とアメジスト3
□危機呼ぶ赤い前兆
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その日、空瑠は依頼ではなく招集の為に家を空けていた。
しかし、そこで報告された内容は・・
『右頬に火傷の跡がある赤井秀一の姿ですか・・』
「はい。以前米花町のていと銀行が強盗に遭ったと思うんですが・・」
「その映像に映っていたんだよ。黒いキャップを被った、赤井秀一によく似た男性がね」
印刷されたおそらく盗撮と思われるその写真には確かに黒いキャップを被った赤井によく似た男性が写っていた。
『他には何かありますか?』
「他・・ジョディという女性FBI捜査官が彼を見かけたくらいだろうか」
呟いた羅瑠に空瑠はそういうことかと納得した。
『おそらくそれはベルモットの変装でしょう』
「ん?」
「どういうことですか?」
空瑠の解答に羅瑠と悠は首を傾げた。
『赤井秀一が死んだ。FBIはそう思っています。それが本当かどうか確かめるために変装したのでしょう』
「なるほど」
「空瑠さんは大丈夫なんですか?」
ふと悠は書類から空瑠に視線を向けた。
『あぁ・・大分ご迷惑をおかけしてすみませんでした』
赤井が死んだとなってから感情のコントロールが出来無くなった空瑠は周りから見ても大丈夫とは言え難い状況でwingsのメンバーは皆心配していた。
『もう、問題ないですよ。それと、あれから水無怜奈、及びゴッドファーザーから連絡は?』
「いえ、今のところ来ていません」
「彼女の言ったバーボン。探偵のようなその男が現れたという情報も来ていない」
空瑠の問いかけにそれぞれ首を振りながら答えれば
『今は、この男を探るのが早いですかね』
空瑠は赤井秀一によく似たその写真を指で弾き羅瑠と悠に視線を向けた。
『おそらくジンもこのことは遅かれ早かれ知ることになります。だとすればどうにかしてでも自分の目で確かめるでしょう。自分の目の前で死んでいった赤井秀一が生きているかどうかを』
「つまり・・奴らが何かを仕掛けると?」
『えぇ、おそらくそう遅くないうちに』
空瑠は表情を引き締め
「瑠希君にも伝えておこう」
「僕は他に仲間を連れて少し探ります」
『なにか情報が入り次第連絡を』
「了解です」
「では、今日はこのくらいかね?」
『そうですね』
頷く空瑠に悠は電話を掛けるとそのまま部屋を出て行き空瑠も写真をバックに入れるとバイクのキーとヘルメットを持って部屋を出た。
『赤井・・秀一・・』
呟いた空瑠はそっと目を閉じると小さく息を吐き工藤邸に戻ることに。