翡翠とアメジスト3
□黒き13の暗示
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ふらふらと二人百貨店の中を歩いていれば
「雨瑠、少し別行動してもいいですか?」
沖矢の問に空瑠は視線だけ向ければ何かを企む顔をしていたため
『別に、時間と指定場所さえ決めてくれれば俺も自由に動くし』
また視線を前に戻した空瑠に沖矢は肩を竦め
「何か怒ってますか?」
抑揚のない声だが節々に棘があるような言い方だった。
『いや?雨瑠の性格上、気難しいってのが設定にしたからな。あんま気にしないでくれ。で?何時にどこ?』
歩みを止めた空瑠は携帯を見ながら尋ねた。
「そうですね・・30分も掛からないと思いますが・・。では、この階のエレベーター前でどうでしょう」
『30分後にエレベーター前ね。了解』
空瑠は沖矢に背を向ける形で歩き出しヒラリと後ろ手に手を振った。
「私が知っていたことが癪だったんですかね?」
去っていく空瑠の背中を見ながら沖矢は溜息を吐きその背中が見えなくなると移動したのだった。
『わかってる・・どんなにwingsが情報を持ってても秀一さんに敵う訳無い・・なんでこんな・・悔しいんだろう』
実際棘のあるような言い方をしたのは単なる八つ当たりだった。
空瑠は自分の子供っぽい衝動に呆れた溜息を吐いた。
そして百貨店の中をぶらついている空瑠だが
『なんっか・・嫌な予感がするな』
探偵の勘か、刑事の勘か、暗殺者の勘か。
空瑠は自分が感じる感覚に眉を寄せながら待ち合わせ場所へと向かうことに。
そしてその途中でエスカレーターの傍を通れば
『ん?』
置かれているピンクの紙袋に気がついた。
近づいてみればその紙袋は中が見えないように口がしっかり塞がれており
『予感的中か?』
自分の勘が鈍っていないことを喜ぶべきか、悲しむべきか・・・。
空瑠は中を開けることはせず
『(もし、コレが他の場所にもあるとしたら・・・)探してみっか』
エスカレーターの前にあるとすればと考えながら移動を始め
『あった』
自分の考え通りと言う様に階段の前にも置かれた紙袋。
『だとすると残るは・・』
空瑠は待ち合わせ場所にもなっているエレベーターの方へ向かえば
『?』
既に野次馬のように人が集まっており
「警察への電話はダメです!」
男の声が響き空瑠は客の隙間から見えた人物に舌打ちしたくなった。
『(なんで新一たちがいるんだ!それにあの男性・・あの体中に巻かれてるのは・・)』
「警察がこの百貨店に近づいた時点で爆弾のスイッチを押すと。勿論、このフロアから一人でも客が逃げたらアウトだって言ってました」
男性の説明に空瑠は状況が読めたが・・