翡翠とアメジスト3

□赤く揺れる照準
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米花百貨店の向かいに停まる黒のポルシェ356A。

そしてその車内では赤井によく似た人物が出てくるのを待ちながらジンは水無に銃口を向けたまま水無は視線を時折彷徨わせ、ウォッカは指でハンドルを叩きながら入口の方を見ていた。

そしてそのポルシェを見下ろす人物、沖矢だった。

沖矢はふと何かに気がつき見下ろしていた視線を向かいのホテルに向ければその一室の窓が開けられライフルのスコープで入口を見ているキャンティの姿が確認出来た。

そのことにフッと笑みを浮かべればカフェの店員は困惑気に声を掛ければ

「直ぐに出ていきますよ。爆弾でフロアが占拠されているのに何かを口にする気分ではありませんから」

そう言って出口に向かう沖矢だが

「最も・・この暑い最中息を潜めてジリジリと獲物を待っている連中には熱くて苦い珈琲をご馳走したいところだがね」

勿論、店員は言ってる意味など分からず首を傾げ沖矢は店員を振り返ることなく店を出て言った。

そんな最中

「彼も結構言いますね」

‘カチャン’

口をつけていたカップをソーサーに戻せば陶器のぶつかる音が響き苦笑交じりに言われた声の主は悠であり沖矢が外を見ていた理由も分かっており沖矢が出て行ったのを確認して悠は空瑠にメールを送った。

息を潜めて獲物を待つ連中が外に居ると言う事を伝えるために。

そして他のメンバーから奴らの仲間が地下駐車場にいる以外は見当たらないことも報告したのだった。














そして空瑠たちはと言えば・・

「ですよね?爆弾犯の・・『一般市民さん?』」

追い詰められた男性は白を切ろうとするが

「12時28分になっても誰もウェアを買いに来ないのを見てあんたは思ったんだ」

『やはり、これは自分をここへ誘き出す為の送り主の罠だとな』

「だからあんたはその送り主を炙りだそうとしたんだ」

「炙り出すってどうやって?」

蘭は推理を聞きながら首を傾げた

『住所を知っていたということは送り主はあの人の顔も知っているはず。あの人が爆弾を巻いて送り主を探さないと爆発すると言えばそんなの嘘だと送り主が名乗り出てくると思ってたんだろ?』

「ま、そんなややこしい方法を取らなくても俺もそしてその兄ちゃんも分かってたがな」

「えっ?そうなんですか?」

蘭は空瑠と毛利を交互に見れば空瑠は口の端を釣り上げ頷いた。

『レシートだろ?』

空瑠は視線を毛利に移し答えた。

「そう。いくらなんでも毎回正確に12時28分のレシートを貰うことは不可能。その時間にレシートを出してくれと頼めば印象に残るはずだからな。しかし、店員はそんな人物を見ていない」

『だとすると残る可能性は一つ。送り主はレシートを出した本人ってことか』

「ですよね?赤いアンダーウェアを販売しそのレジ係をしていた世田さん」

客に紛れてやって来た瀬田に空瑠、蘭、そして客たちは目を向けた。

「あのレジは店の小部屋の中。客や販売員に見られることなく12時28分のレシートを出せますからね。それに、顔見知りだという可能性が高いにも関わらず受取人が見つけられなかったのもずっと小部屋にいたあなたが送り主だという決め手の一つですが」

そこで毛利は推理をやめれば

「麻衣ちゃん・・麻衣ちゃんだろ?丸岡さんの娘の」
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