翡翠とアメジスト3

□ウエディングイヴ
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どうしてこうなったと空瑠は自分の服装を姿鏡で見ながら溜息を吐いた。

そもそもは空瑠の携帯に掛かって来た有希子からの電話が始まりだった。

『えっ?結婚パーティーですか?』

「そうなの!私の高校の時の同級生なんだけどね?結婚するみたいで」

『戻って来れそうにないから私に行けと言う事ですか?』

「そういうこと〜」

『・・・分かりました』

何を言っても聞かないことは既に経験済みの有希子に空瑠は片手で顔を覆いながら了承した。

「お祝いの品はもう送ってあるからそろそろ届くともうわ」

『分かりました』

「じゃぁ、そういうことだからよろしくね!」

『はぁ』

切られた電話に向かって空瑠は溜息を吐き

「空瑠、何やら届き物が来ましたが」

有希子の電話中に宅配が来たらしくそれは沖矢が出てくれた。

『うん・・有希子さんから』

空瑠は電話で言われたことを話した。

「ほー。結婚パーティーですか」

『うん。まぁ、お祝いの品を届けに行くだけだからそのまま帰って来れたらいいなとは思うけど・・』

「難しいでしょうね」

ソファで並んで座り空瑠は苦笑し沖矢は空瑠の頭を撫でた。

「当日は送りますよ」

『ありがとう』

そんな会話を思い出し空瑠はもう一度溜息を吐いた。












その当日、空瑠は姿鏡の前で自分の格好を見直していた。

『う〜ん・・』

ワンピース風のスカートとジャケットを着た空瑠は首を傾げた。

『(自分の服装ってわかんない・・)』

「空瑠、そろそろ出ないと遅れますよ?」

ドアの外から沖矢が声を掛けるが

『昴さんちょっとお願いがあるんだけど・・』

「はい?」

『とりあえず入ってくれる?』

「失礼します・・・どうしました?」

未だ鏡の前で首を傾げる空瑠に沖矢も首を傾げた。

『自分の服装が分かんない』

「なるほど」

端的に言われた空瑠の言葉に沖矢は頷くと勝手にではあるがクローゼットを開け

「コレならいいだろう」

ワンピース風のスカートは変わらないが今空瑠が着ている格好よりも落ち着いた色合いで大人びた服装だった。

渡された物に着替え沖矢にチェックして貰いOKが出たところで

「それでは行きましょうか」

沖矢の言葉に空瑠も頷いた。











そして店の前で降ろしてもらえば

「帰りは連絡ください。迎えに来ますから」

『ありがとう。行ってきます』

そう言って空瑠は店の中に入ると

「空瑠!」

『蘭、毛利さんも』

呼ばれた方を見れば席に座る蘭とコナン、毛利の姿があった。

「空瑠ちゃんも呼ばれたのか?」

蘭の隣に座れば毛利から問いかけられ空瑠は有希子の電話のことを話した。

それに毛利たちは納得しパーティーが始まった。

「よ!ご両人!妬けるね〜」

嬉しそうに新郎新婦に声をかける毛利に今回の主役、伴場頼太と加門初音は毛利たちのテーブルにやって来た。
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