翡翠とアメジスト3
□探偵たちの夜想曲(誘拐)
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樫塚のマンションに着いた空瑠たちは
『とりあえずマンションの入口やこの階の周囲に怪しい人物はいなさそうですね』
空瑠はマンションに着いた時から辺りを警戒しながら様子を伺っていた。
『(正直、そんな人がいるとは考えられないが・・)』
「そ、そのようだな」
「えぇ、ここまで送って頂いて有難うございました」
樫塚はそう言って部屋の中に入ろうとしたが思い出したようにコナンはトイレが我慢できないと嘘を言い部屋の中に入れてもらえば
『!(この部屋)』
部屋を覗いた空瑠は目を細めるようにして睨むと部屋の中に視線を巡らせた。
そして安室も同じような理由を言えば樫塚は部屋へと空瑠たちを招いた。
そして毛利たちがリビングに入ったのを確認してコナンはトイレから出てくるとドアの横に空瑠は立っており
『どうだった?』
「あ?どうだったって?」
どうやらコナンと空瑠が確認したかったことは違ったらしく
『・・いいや。何でもない』
空瑠は一瞬トイレの中に入りあるものを探すが存在せず
『やっぱり・・』
空瑠がトイレから出ると
‘プルルル’
着信音に空瑠はディスプレイを見ると
『真純?もしも・・「何で電話に出ないんだよ!心配したんだぞ!蘭君は電源切ってるし空瑠、は電話に出ないし!」ごめん。ちょっと立て込んでて』
返事をする前に世良の怒鳴り声が響き空瑠はそれを宥めるが
『このノイズ・・まさか!』
「空瑠?おーい!」
世良の言葉を空瑠の耳は素通りしそのまま通話を切ってしまい世良は今度は蘭の携帯に掛けたのだった。
勿論、いきなり空瑠の通話が切られた怒りも一緒に愚痴るが蘭の通話が聞き取りづらいという言葉に安室は素早く反応したのだった。
『安室さん』
空瑠はリビングに入り安室に視線を送れば頷かれ安室は蘭の携帯を切った。
「あの・・?」
蘭は困惑げに安室と空瑠を見やるが空瑠も安室も唇に人差し指を立てていた。
「どうやらこの部屋は」
『盗聴されているようです』
空瑠たちの言葉が信じられず驚く樫塚と
「あの・・何でそんなことが分かるんですか?」
蘭が首を傾げれば
「さっきの蘭の携帯だな」
毛利もわかったらしく
「盗聴器が仕掛けられていると通話がしにくくなるんだ」
『最初は電波不良かと思ったんですが、私と蘭。両方の携帯で起きたので間違いないでしょう。安室さん装置は?』
「大丈夫です。持ってます」
そう言って懐から安室は盗聴器を発見する装置を取り出し準備をした。
『樫塚さん、始めても大丈夫ですか?』
空瑠の言葉に樫塚は戸惑い
「す、すみません。部屋が散らかってるので片付けてきます」
リビングを出ていこうとする樫塚に
『よければ手伝いますよ?』
空瑠は口元に笑みを浮かべながら尋ねた。
「あ・・はい・・」
そう言ってリビングを出て行く樫塚に
『それで。何処へ行こうとしてるんですか?』