翡翠とアメジスト
□出会った
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次の日には優作が紹介してあると言われ射撃場までバイクを飛ばした。
{「優作から聞いてるぞ!俺がイリネスだ」}
{『初めまして白夜空瑠です』}
{「優作からは800ヤードは行けるって聞いたぞ?俺でも800やややキツイ。一回見せてもらえるか?」}
{『構いません。ライフルは?』}
イリネスは自分の後ろを指さした。
空瑠がイリネスの横から見ればいくつものライフルが並んでいた。
{「自分で選ぶものさ。いや、選ばれるものだ」}
イリネスの言葉に空瑠はライフルの方に向かい何の迷いもなくPSG-1に手を伸ばした。
{「そいつに手を伸ばした理由は?」}
{『理由なんかないですね。気がついたら手が伸びていました』}
{「そういう事だ。無意識に引き寄せられるんだ。銃にな」}
ニヤリと笑ったイリネスは次に的の方に体を向けた。
{「伏射、立射好きな方をやりな」}
{『立射の方が好きですけどそれだと750が限界ですね』}
呟く様に言いながら空瑠は立射で構え引き金を引いた。
‘ピューィ’
一発で当てた空瑠にイリネスは口角を上げ口笛を吹いた。
{「一発でど真ん中。俺でも750は伏射が限界だ。伏射だとどこまで行ける?」}
{『800までしかやったことないですね』}
空瑠の言葉にクツクツと喉を鳴らすイリネスは850に設定してくれた。
{「やってみな」}
伏射の姿勢を取り空瑠は自分の感覚で引き金を引いた。
{「ははっ・・笑うしかねぇな」}
イリネスは口角を上げたままさらに設定を上げ900まで上げた。
それでも空瑠は問題なく的の真ん中に撃ち込んだ。
後ろで見ていたイリネスは最早言葉を失っていた。
{「イリネス、俺も少しやっていいか?」}
{「あぁ、秀一か。構わないが今、凄い嬢ちゃんがいるぜ?」}
{「凄い?」}
ニット帽に長髪の黒髪を靡かせた男、赤井秀一はイリネスの言葉に首を傾げながら指差されたほうを見れば伏射の姿勢でライフルの引き金を引く女性がいた。
{「彼女か?」}
{「あぁ。既に設定は900それでも何発撃ってもブレやしないよ」}
{「ホー」}
興味深いと言わんばかりに赤井は自身の愛用のライフルを手に取り隣で同じように伏射の姿勢を取った。
まだ引き金は引かず空瑠の様子を伺った。
「(手馴れている。そう思うのは気のせいか?)」
気が付けば凝視していたようで空瑠は体を起こし赤井の方を向いた。
{『何か用ですか?』}
空瑠の姿に赤井は見惚れた。
身長こそ赤井より小さいがそれでも女性からすれば高くそのアメジストの輝きに引き込まれていた。
{「すまない。気分を害したか?」}
{『気分というより、視線が気になったくらいです』}
{「それはすまないことをしたな」}
{『いえ、丁度撃ち尽くしたところですから』}