FBIと護り屋
□出会い編2
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それから数週間後
「で?例の彼から返事はないの?」
面白そうに聞いて来るのは赤井と同じFBI捜査官のジョディ・スターリング。
「あぁ。返って来てもそっけない返事だけだな」
そう言って携帯を弄るのはウィルを気に入ったと豪語する赤井。
「だって、彼一般人なんでしょ?まず接点がないじゃない」
「まぁ、そうなんだがな。どうも、彼を諦められそうにないんだ」
カウンターに並んで座り酒を飲む赤井とジョディ。
話は赤井が気になっているウィルの事。
「ルイ君ね〜。確かに見たとき美形でカッコいいとは思ったけど」
赤井と一緒にFBI本部に来た時の事を思い出したジョディは赤井が何故そんなに気に言ったのかがイマイチ分からないでいた。
「かんぱ〜い!」
どうやら後ろの席では賑やかな集まりになっているらしく
「ずいぶん騒々しいな」
赤井は眉を寄せながら後ろを振り返り
「サークルか何かかしら。集まってる子たちまだ幼いから」
ジョディもつられて振り返り騒いでいる連中を観察した。
だんだんその声の大きさがヒートアップしてきた頃
『マスター。ジョッキで水、貰える?』
「あぁ。用意してあるよ」
ジョディの横からマスターに声を掛けジョッキに入った水を受け取り片手で礼を述べたウィルはその集団に入って行った。
『ジャック。飲み過ぎだ』
「ん〜?ルイ〜?」
『あぁ、俺だ』
「ルイルイ王子だ〜。何でルイルイ王子はルイルイ王子なんだ?」
『その渾名付けたのはお前だろう?とにかく、お前はまずこれを飲め』
そう言ってウィルは貰って来たジョッキに入った水を飲ませ落ち着かせた。
『ケン。支払いは?』
「悪い。まだだ」
ケンの言葉にウィルは懐から財布を取り出し
‘カサッ’
数枚の札をテーブルに置くとジャックの腕を肩に回させた。
『じゃぁ、こいつは回収していく。足りない分は払ってくれ』
「いつも悪いな回収」
『そう思うんなら、こいつ(ジャック)と飲むときは先に徴収しとけ』
ケンの言葉にウィルは笑って返すとそのままその集団を出ようとした。
「ルイ。ジャックなら俺が運ぶよ。バイトなんじゃないのか?」
『もう終わったから心配なし。それに、こいつこの時間で家に帰さないと明日確実に起きらんねぇよ』
そう言ってウィルはジャックを抱えるとカウンターに寄り
『マスターごめん。騒がしくて』
「いや、気にしてないよ。それに君が来てくれたからね」
『俺の行きつけで助かったぜ。詫びの品何が良い?』
「そうだね。また君が作ったアップルパイが良いかな」
『あんなものでいいのかよ』
「私からすればあんなものではないよ。とても美味しいからね」
にっこりと笑うマスターにウィルは苦笑し
『出来たら持ってくる』
そう言って店を出て行った。