FBIと護り屋
□仕事編2
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『シボレー・・』
赤井が車を停めたと言う場所には赤井の物だと主張するように黒のシボレーが止まっていた。
「どうかしたか？」
しかしウィルにとってシボレーはあまり良い思い出のある車ではない。
そっと伏せた瞳の奥ではその時の情景が鮮明に描かれているが
『いや、今時珍しいと思っただけさ』
それを話すのは些か憚れるためウィルが瞳を開けた時脳裏に描かれた情景に蓋をする。
助手席に座ったウィルは道順を示す以外口を開かなくなっており
「俺が質問した方が良いのか？」
ふと、赤井が一緒に行くと言った理由を思い出したウィルは働くなった自分の頭に舌打ちし
『今から行くのは衣装屋。あんたに合う服はそこじゃないと手に入らないし、俺も着替えないといけないからな』
そう言ってウィルが車を止めるように指示したのは何の変哲もない一軒家。
「ここなのか？」
『ここも裏のだからな。表の人間はそうそうここには来ないさ』
赤井が首を傾げて見上げるのを見てウィルはフッと笑みを零しながらそう言い慣れたようにドアを開ける。
「いらっしゃい。後ろの彼のだよね？」
『あぁ、頼めるか？』
「お任せ」
ニッコリと笑った少年に赤井はまた驚く。
『こう見えて、こいつは成人済み。身長が小さいのが年柄年中の悩みなんだよ』
ウィルは後ろに居た赤井に分かる様に少年の頭を撫でながら説明した。
「相変わらず羨ましいくらいの長身だと思ったけど彼はそれ以上だね」
見上げる少年は肩を竦めながらそれでもどこか恨めしそうな視線に赤井はクっと喉を鳴らした。
「ねぇ、今この人馬鹿にしたんだけど」
赤井が笑ったのを見て少年はウィルに抗議するが
『お前がんな恨めしそうな眼をすりゃ誰だって笑うだろうが』
それだけ言ってウィルはもう一度頭を撫でるとそのまま奥に進んでしまった。
「あ、ねぇ。車って手配済みなの？」
『当たり前。俺が着替え終わるころにはここの前にある筈だぜ？』
少年の言葉にウィルは後ろ手に手を振りながら消えて行き
「君も、彼の仲間なのか？」
赤井は疑問をぶつけてみた。
「仲間ではないかな。ギブアンドテイクの関係。彼は特に僕の店を贔屓にしてくれてるからね。僕も護ってもらってるからさ」
そう言って少年はウィルが消えて行った廊下を歩きだし赤井に手招きした。
「このくらいのならいいかな。聞いたかもしれないけど彼ら護り屋は特にパーティー何かでの護衛が多いからドレスコードは必須なんだ」
そう言って赤井のスーツを見立てる少年に赤井は耳を傾け
「勿論、目立つ車もNG」
「それがさっきの手配済みと言う事か」
「そう言う事。あ、少し屈んで」
少年に言われた通り赤井が少し屈めば少年の手によってスーツを着せられた。
「うん。いい感じ。あ、ニット帽は外してってね」
スーツにニット帽は可笑しすぎるからと笑う少年に赤井はニット帽を外し髪をかき上げれば
‘ピュゥ’
聞こえた口笛に振り返ればドアに寄り掛かる様にしてウィルが様子を見て居た。